ー 1,100,000回
「価値観」は人それぞれ、ましてや「美意識」となると、その基準は定かではない。ファッション(美)を数値化することは、難しい作業だ。なぜならモードは “得体のしれないもの”として君臨しているからだ。とくに現代社会においては、「人気がある」「売れている」ということと、「イケている」は決してイコールとは限らない。
ラグジュアリーブランドの「グッチ」が、昨年1月に新たな才能をクリエイティブ・ディレクターに起用した。ローマ生まれのアレッサンドロ・ミケーレは、長髪にヒゲという一見アーティストのような風貌で、彗星のごとくファッション業界に登場した。彼が提案する世界観は、花々を散りばめた刺しゅうのジャケットや、シースルーのシャツを着たジェンダーレスな近未来の男女たち。これはいままでの「グッチ」とは、とても結びつかないものだ。
ニュ−ヨークで行われた2016年クルーズコレクションの「YouTube」再生回数は、ランウェイショーとしては史上最多の110万PVを記録。この数字からは、世間がいかに「新生グッチ」に期待していたかがわかる。独特の風体と美意識をもつ男、アレッサンドロ・ミケーレ。彼の価値観が世界基準となる日は、そう遠くはない。
女/シャツ172,000円、パンツ228,000円 男/ジャケット444,000円、シャツ91,000円、コサージュ49,000円
(すべてグッチ/グッチ ジャパン カスタマーサービス 0120-88-1921)
photograph by Junji Hirose,hair by hiro TSUKUI,make-up by Mikako Morino