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I cover the business of Brazil and the Olympics.

Demetrio Carrasco / gettyimages

ブラジルでは毎年イースターが近づく時期、身長が180㎝を超える人は食料品店に入ると、身をかがめなければならない。どの通路の天井も、カラフルな包装紙に包まれたフットボールほどの大きな楕円形のチョコレート、「オヴォ・パスコア(イースターエッグ)」で埋め尽くされるからだ。

ブラジルでは2015年、モンデリーズやネスレ、国内メーカーのガロット(Garoto)をはじめとするメーカー各社やカカウ・ショウ(Cacau show)などの専門店が、合わせて約8,000万個のイースターエッグを生産した。2016年の生産量は、9,500万個に上ったと見込まれている。

しかし、経済と政治の両面で危機的な状態にある中で迎えた今年のイースターには、これまでにない大きな変化があった。従来は400gが平均とされてきたイースターエッグが、250gほどに「縮小」されたのだ。メーカー各社が取った苦肉の策だ。イースターエッグ市場は、同国経済がどれほどの打撃を受けているかを示す良い例のひとつだ。

ブラジル・チョコレート工業会(Abicab)の副会長は同国の日刊紙オ・グロボ(O Globo)に対し、「商品を小さくすれば、経済的な損失が出たり、失業の不安があったりするなかでも、消費者たちは買うのをやめようとまでは思わないだろうと考えた」と語った。

中には伝統的な400gのイースターエッグの4分の1のサイズにまで減らしたものや、45gで2ドルの商品も発売された。多くの国民にとって、予算内で買うことができたのは、これらの新商品だったことだろう。

チョコレート市場が直面する深刻な状況

ブラジルの通貨レアルは2014年には、1レアル=50セント近い水準だった。しかし、最近では安物のチョコレートのように半分の価値にまで溶け崩れ、1レアル=25セント前後となっている。失業率とインフレはここ1年間で急上昇し、格付け会社はブラジル国債の格付けを引き下げ続けている。

さらに、1989年代後半に「魔女のほうき」と呼ばれる伝染病が流行し、壊滅的な被害を受けた同国のカカオ生産業者は現在もまだ、立ち直りを目指す過程にある。だが、干ばつの影響もあり状況は遅々として改善せず、チョコレート・メーカーの原材料の輸入量は、驚くほどに増加している。一方で、米国市場では今年、カカオの価格が前年比50%の高騰を記録。ブラジルのイースターエッグの価格も、それに比例する形で急激に上昇した。

ある調査によると、ブラジル国内で2015年に販売された13のブランドのイースターエッグの価格は、一部の市場では前年比で83%上昇した。インフレ上昇率をはるかに上回る値上がりぶりだ。そして、これはブラジル経済が大恐慌以来、最悪の経済危機と呼ばれる状況に陥る前に起きたことだ。

多くのチョコレート・メーカーは今年、高級な輸入品を原材料から外した。品質の高い製品を求めていた消費者にとっては、悲しいことだ。だが、財布がずいぶん軽くなってしまった数百万のブラジルの人たちにとっては、嬉しいことだったといえるだろう。

ブラジルでは、文化と習慣が人々に予算を度外視させることもある(例えば、恒例のカーニバルのように)。そのため仏系スーパーマーケットのカルフールは、イースターエッグ専用の融資枠も用意していたという。

編集 = 木内涼子

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