ーお金に絡む書類の片づけについてどうアプローチするのか教えてください。書類一般については本に書かれていますが、特にお金関係の書類をうまく扱うにはどうしたらよいでしょうか?
近藤麻理恵(以下:近藤):書類についての私のルールは、”全部捨てる”ということが基本です。まずは、書類は全部捨てるのだという心構えを作ることが必要です。もちろん、なかには取っておくことになる書類もあるでしょうが、とにかくまずは書類はいらないものだというところから始めると、片づけが効果的にできます。
取っておくべき書類は、今使っている書類、しばらくの間必要である書類、そしてずっと取っておく書類の3種類だけです。クレジットカードの明細書、電話料金引き落としのおしらせ、保険の古い通知物、こうしたモノを取っておく理由はありません。
書類の保管については、紙の1枚ならかさばらないだろうと、深く考えることなくためておく人が多いのですが、それは間違っています。あらゆる大きな散らかりは、小さな散らかりから始まるのです。
私は“未処理ボックス”の活用をお薦めしています。机の隅や、携帯充電器の隣の空間をそう見立てるのではなく、実際に箱を使うこと。箱は書類がきちんと入る程度の大きさがよく、あまり大きすぎると書類をきちんとそろえることができません。書類の数が多くないのなら、クリアフォルダーを使っても構わないし、マガジンフォルダーなら書類を立てておけます。
すぐに処理できる書類は未処理ボックスに入れないこと。中身がよくわからない封書は開封して確認し、素早く捨ててしまうこと。特に広告や寄付の依頼は、反応するつもりがないのなら、すぐに捨ててしまうべきです。
そして、未処理ボックスに入っている書類を一気に片づけてしまう日や時間を必ず決める。すっかり片づいた時の自由で幸せな気分を想像するといいでしょう。いったんこうしたことができれば、片づけのスキルに自信がつき、次は書類よりも厄介なモノにも手をつけることができるようになります。
ー消費と倹約についてはどう考えていますか。私が数年間に日本を旅行した時、日本には歴史的に倹約かつ蓄えておく文化があることに興味を持ちました。そうした心構えは文化的にメリットがありますか?
近藤:倹約というか、実際には今の言い方では“ホーディング(溜め込み症候群)”ということもできると思いますが、日本にはそのような歴史があります。特に20世紀の中盤、戦後数十年間にそのような傾向が強くありました。衣類や必需品が十分にない時代であればそれも理解できますが、状況が改善した今でも、人々が何でも蓄えておこうという本能を持っています。
倹約は悪いことではありませんが、私は可能であれば、ときめきを感じるモノ、楽しいモノ、感謝したくなるモノに囲まれていることが大切だと思います。将来入手できなくなるかもしれない恐れからモノを蓄えようとするのは、動機がネガティブです。不安感からモノを取っておくということは私はお薦めしません。