ーあなたの顧客の生活においても、ダイエットや就職、人間関係の改善など、ポジティブな変化が生まれてきているとのことですが、最も大きな変化が起きた例は?
近藤:そのような事例はたくさんあるのですが、これまであまりお話ししたことがない体験を紹介します。2015年に私がニューヨークの書店のイベントに参加していた時、驚くべき出来事があったんです。私からの簡単なお話の後、質疑応答の時間がありました。最初に質問をしたのは女性で、9歳の自閉症の息子さんがおられるとのことでした。
その女性が、私のやり方で自分のアパートを片づけてみたところ、片づいた環境で息子さんがこれまでより活発になり、人とかかわるようになり、幸せになったという嬉しい驚きがあったというんです。
こういうことがよくあることなのか、私のやり方が息子さんの変化に関係があるのか、はっきりしたことは分かりません。でもその女性によれば、散らかったアパートの部屋を私のやり方で片づけたことが、息子さんの変化につながったということでした。そして彼女は、隣に座っていた息子さんを、私と聴衆の皆さんに紹介してくれたのです。
こんな話を聞けたことは、私にとっても素晴らしい経験でした。この本が読者の人生に与えた重要な変化の、最高の事例の1つではないかと思います。
ー失敗とはどういう状態を指すのでしょうか? どんなタイプの人間が効果が出にくいのですか?
近藤:片づけをやろうともしない人がいる時、それを失敗と認識しています。私のやり方でほとんどの人は家を片づけることができると思いますが、全員が全員、そうではないかもしれない。ただ、失敗したといえる人は、やってもみなかった人のことです。
ーたまっていく子どものモノから逃げたい親に向けてのアドバイスはありますか? 個人的には、娘の絵がどんどん増えるのですが、どこから始めたらいいでしょう?
近藤:お子さんが誇りにしている絵があるのなら、それを保管しておけばいいと思います。ただ、お子さんが誇りにする以上に、あなたの思い入れが強い場合には、捨ててしまって構いません。子どもの絵に関しての本当の喜びは、絵を家に持ち帰ってきて、あなたに見せた時の誇りにあるんです。その瞬間をしっかり味わうことができたのであれば、家に楽しさを持ち込んでくれた絵に感謝をしてから、手放せばいいんです。
学校の作文などは、バインダーにきちんと保管しておくこともできます。小さな絵で、あなたやお子さん、ご家族にとって喜びを提供してくれるのであれば、家の中で飾ることを考えるべきで、リビングルームかダイニングルームに、お子さんの絵や図工専用の小さな棚を作るといいかもしれません。
顧客や読者にいつも伝えるのは、そのモノがなんであれ、それが楽しみや喜びを提供してくれるなら、目に付く場所に置くべきだということ。しかし、もはやそれがときめきをもたらさないと感じる時が来たら、ためらうことなく処分することです。その絵がもたらしてくれた良い時間に感謝して、今後は新しいモノを一層愛するのです。