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テクノロジー、eコマース担当ライター。


ジェイバーはパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区出身。米国に移住して7年後の1976年、サンフランシスコで酒と食料品の店をオープンした。

パレスチナで8歳の頃からコーヒー豆を売り、祖母の元でコーヒーを飲みながらブレンドや抽出の技術を身に着けていた彼は、酒屋でウイスキーや玉子を売りながら、コーヒーへの情熱を捨てなかった。2002年にジャワコーヒーの提供を始め、ドットコムバブル崩壊で食料品やアルコールの売り上げが急落する中、店舗を本格的なコーヒー店に変えた。

コミュニティカレッジを数か月でドロップアウトし、2005年にフィルズで働き始めた息子ジェイコブは、父に店舗の拡大を勧め、2009年初めにはサンフランシスコに新たに3店舗、パロアルトにも1店舗をオープンした。

テック業界がサンフランシスコの街を変えていく中で、店舗を拡大させ、フィルズは学生やプログラマーのたまり場となった。地元のコーヒーショップWrecking Ball Cofee Roastersのオーナー、トリッシュ・ロスギブは「フィルズのコーヒーは、これぞサンフランシスコの飲み物だと感じさせてくれる」と語った。

ただし、ライバルたちの評価は厳しい。ピーツ・コーヒー&ティー(Peet’s Coffee & Tea)のデイブ・バーウィックCEOは「フィルズはブランド構築や販売には熱心だが、コーヒーそのものについて考えが足りない」と皮肉った。

ジャック・ドーシーにはDMで意見を聞く

しかし、テック企業のファンに支えられ、フィルズは成長を続ける。店舗あたりの年間売上高は平均170万ドル(1億9,000万円)で、スターバックスの120万ドル(約1億3,000万円)を大きく上回る。昨年の売上高は60%増となり、ベイエリアとロサンゼルスの29店舗は全て黒字だった。

フィルズはコーヒー豆をツイッターとセールスフォース・ドットコムに提供しており、アップルのオフィス近くにも店を構えている。ザッカーバーグもフェイスブックの本社内に店舗を誘致し、テナント料を取っていない。

ジェイコブはツイッターのジャック・ドーシーCEOにDMでアドバイスを求めたり、アップルから人材を招いて従業員研修プログラムの開発に取り組むなど、テック業界とのつながりを深めている。

フィルズは今年、ワシントンD.C.に2店舗をオープンする。将来的にはニューヨークやボストンにも進出し、国内1,000店舗体制に広げる青写真を描いている。手始めにD.C.を選択したのは、テナント料が比較的安く、ミレニアル世代の人口が増えているからだ。D.Cの店舗スタッフ採用にあたっては300人以上を面接し、30人を採用した。

フィルズではスターバックスのように、注文の際に客の名前を尋ねたりしない。ジェイコブに言わせると、「それは、人間味の無い振る舞いだからだ」という。スターバックスとは違うやり方で、彼らはコーヒービジネスに革命をもたらそうとしている。

編集=上田裕資

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