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2016.03.27

強気の米クリスピー・クリーム、原油価格で打撃も事業拡大を継続へ

Photo by Joe Raedle/Getty Images

ノースカロライナ州に1937年、小規模の店舗をオープンさせたクリスピー・クリーム・ドーナツは、上場を果たした翌年の2001年以降、積極的に国際事業を拡大してきた。現在営業している約1,100店舗のうち約75%は、米国以外にある。

その同社が直面しているのが、世界的に影響が広がる原油価格の大幅な下落だ。2015年初めの時点で、クリスピー・クリームは以下に示すとおり、サウジアラビアをはじめとする原油生産量の多い国に、数多くの店舗を展開している。

サウジアラビア 105
メキシコ 136
アラブ首長国連邦 19
クウェート 14
ロシア 12

これら各国は、原油価格の急落で歳入が大幅に減少。経済に大きな打撃を受けている。例えばロシアでは、大幅なルーブル安に伴い急速にインフレが進んでいる。なかには同社にとって、出店を後悔している地域もあるかもしれない。

だが、同社のプライス・クーパー最高財務責任者(CFO)は3月22日に行った2016年第4四半期(2016年1月末まで)の決算発表で、今後も国外での事業拡大の速度を緩める考えがないことを強調した。今年度中に120~140店舗をオープンさせる計画だという。また、ロシアでは2019年までに、およそ36店舗を開設する方針だ。

米国以外での事業には、原油安に加えてドル高の影響もある。同社の国外事業の売上高は同期、前年同期比3.4%減の740万ドル(約8億3,400万円)となった。クーパーCFOも今後の見通しについて、「全体として、国外では既存店の売上高が減少する状態が続くだろう」と認めている。

国内事業は順調

一方、店舗数は国外より少ないものの、同社の米国内での販売は順調だ。直営店のほか、食料品店やコンビニエンスストアなどでも販売している。今期の売上高は同社全体で1億3,040万ドル(約147億円)に上っており、国内事業が大きく寄与した。

同社の株価は3月23日の取引で5%下落。ここ12か月でも、約29%下落している。

編集 = 木内涼子

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