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2016.04.06 15:38

「事業を継続したいが後継者がいない」その問題はM&Aが解決する

[左]畠 嘉伸スターシップホールディングス代表取締役兼CEO、藤原秀人ディスコ 事業推進本部 M&Aプラス ユニットリーダー(写真=後藤秀二)

[左]畠 嘉伸スターシップホールディングス代表取締役兼CEO、藤原秀人ディスコ 事業推進本部 M&Aプラス ユニットリーダー(写真=後藤秀二)

事業承継問題に悩む中小企業で、後継者不在から廃業という最悪の選択は、ステークホルダーだけでなく、地域経済や雇用に与える負のインパクトが大きい。いかに事業を将来へつなげるか。大手人材会社ディスコが開発したM&Aに関する全国の情報と高度な専門知識のプラットフォームとなる、「M&A+(プラス)」の新しいビジネスモデルの強みとは。

藤原秀人 ディスコ 事業推進本部 M&Aプラス ユニットリーダー
畠 嘉伸 スターシップホールディングス代表取締役兼CEO


:現在の日本の企業約382万社の99.7%が、中小規模の企業です。私どもは、全国約5,000社の中小企業にM&Aコンサルティングや税務、労務サービスを提供していますが、地域に関係なく、経営者の共通の悩みとして挙げられるのが事業承継問題です。

現在、60歳以上の社長の約65%は後継者不在に悩んでいると言われています。存続が危ぶまれる企業は多く、仮に廃業となった場合、家族や従業員が路頭に迷い、地域の安定雇用の受け皿が失われ、地域経済が停滞する最悪なシナリオも考えられます。

この最悪の事態を避けるにはどのような選択肢があるのか。まず、親族に優秀な後継者がいれば事業承継。後継者不在なら外部に経営を委ねるM&Aが挙げられます。経営手腕、後継者の有無などを鑑みながら、柔軟に選択する必要があるでしょう。

事業承継は、金融機関、取引先、株主、従業員などさまざまなステークホルダーを巻き込み、後継者としての資質もより高いものが求められます。そこで業績や会社の舵取り、対人関係に苦しみ、引き継ぐ者、引き継がれる者の双方が苦労して疲弊する例も散見されます。それならば会社は第三者に売却して事業は延々と残し、創業家は他の生き方を模索することも重要な選択肢と言えますね。

中小企業の技術と人材、経営者の「想い」をM&Aで将来へ

藤原:かつてM&Aには、自分の会社が乗っ取られるイメージがあり、これまで築き上げたものが失われるのではという漠然とした不安を感じる方もいたと思います。しかし、近年はM&Aの成功例も増え、社員が生き生きと働く様子を見て、自分たちにふさわしい提携相手があれば、こういう選択肢も悪くないと考える経営者が増えています。雇用と技術が守られ、事業が継続される。経営者の「想い」をつなぐ手段としても、M&Aは有効な選択肢であると思います。

:これまでは、株式などの財産権の承継と経営権の承継を合わせて事業承継ととらえてきましたが、近年はそれらに加え、税法や会社法からの視点では見えない「心権=心の権利」も、円満な事業承継の鍵であると提唱しています。経営者の「想い」をいかに後世に伝えるかも大切な視点なのです。

藤原:会社が存続していることには理由があります。どの会社にも、社員が知恵を出し合い、試練を乗り越えて成長してきた歴史がある。私はその経験も、企業の価値ではないかと思います。そうした気概を抱いて社員が引き継いできた歴史は重い。私どもが提供する「M&A+(プラス)」では、その価値も、将来につなげていければと常に考えていました。
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事業の継続を考えるとき、自社単体で成長する選択肢のほか、有力企業との提携によるシナジーで成長を加速化させたり、事業ドメインやエリアを拡大していく選択肢もある。M&Aを選択する場合も、相手企業の規模だけでなく、トップがどのような成長を目指し、どのようなビジョンを持っているか。社員は成長できるか。そうした判断を、相手の規模を問わずに冷静に見てほしいと思います。

「M&A+」のサービスの一番の特長はマッチングです。ディスコは新卒採用支援や人材紹介など、総合的な人材サービスを行ってきた会社で、マッチングプロセスに求められる、実務のセンスや厳密な情報管理のスキルも兼ね備え、人と企業の架け橋となってきた経験とノウハウがあります。売り手と買い手のマッチングはもちろん、その前段階、M&Aの不安解消や将来の展望への相談相手である、M&Aアドバイザーの紹介。そもそも経営者がどんなアドバイザーを求めているのか、それに沿った人的情報の提供、もっとも適切な専門会社の紹介などを中立な立場で行えることが強みだと自負しています。

「M&A+」は、全国の売り手買い手の情報プラットフォームになる

:早期に専門家に相談することは重要ですね。後継者不在の企業は、モチベーションも下がり業績も悪化する傾向にあります。当社コンサルティング先は、7割以上が黒字です。現状が債務超過で会社が売れない場合でも、当社のサポートにより業績の改善を行い、ターゲットとなる株価まで上げて、しかるべきタイミングに売却することで、M&Aを成功に導いた例は多数あります。私は経験上、M&Aでは実績、ネットワーク、成功率に加えスピードも重要だと考えています。

藤原:「M&A+」は、経営者の現状や会社の状況を把握したうえで、最適な選択肢とタイミングを提案できるシステムです。外部から経営者の招聘が必要ならヘッドハンティングで紹介も可能なので、M&Aだけではなく、幅広い提案ができる強みもあります。

特に有効なのは、地方企業が他のエリアで事業拡大を目指す場合です。「M&A+」加盟業社は、日本各地にネットワークがある。地方都市のM&A専門会社は、その地域の信頼性や情報網に強みがある半面、他の地域ではそれを発揮できない弱みもあります。「M&A+」がハブになり、全国の専門家や優良な情報へのアクセスが可能です。

:日本には創業200年以上の老舗企業が3,000社以上あります。後世までいかに事業を残すか。何より事業継続を第一に、柔軟に選択することが大切だと思いますね。

藤原:まずは今の事業を見直すことでしょう。素晴らしい特質があるのに、経営者がそれに気づいていないことが多いのです。視野を広げると、その特質をさらに活かすには、自社単体でできるのか、提携先を探すのか、選択肢も広がり新しい展開が見えてくるはずです。「M&A+」はその先の解に、最短距離で安全に導くことができるシステムです。

マッチングの精度を上げることで、効率を高め、手数料を大幅に下げることも可能になりました。規模の大小を問わず、中小企業が積極的に、安心してM&Aに取り組める市場をつくりだせたと自負しています。

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ふじわら・まさと◎早稲田大学政治経済学部卒業後、東証一部上場の大手M&A専門会社にて、数多くの事業承継型M&Aアドバイザリー業務に従事。その後、企業再生コンサルティング会社などを経て、人財情報サービス会社ディスコにて中小企業M&A向けプラットフォーム「M&A+」を開設。その運営責任者を務め、全国を奔走している。

はたけ・よしのぶ◎米国公認会計士・税理士。M&A、事業承継ファンド、人財紹介を主に手がけるスターシップグループの創業者、かつ、家業の会計事務所の二代目後継者でもある。全国約5,000社の中小企業にM&Aコンサルティング、事業承継、税務・労務サービスを提供。M&A成約率は90.4%、成約実績180社(成約までの平均日数は134日)。著書に『会社を息子に継がせるな』。

ディスコ:https://ma-plus.com
(フリーコール/0800-777-8787)

スターシップホールディングス:http://www.starship-hd.co.jp

文=橋場一男 編集=高城昭夫

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