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新井 聡 野村證券常務 野村資産承継研究所 代表取締役社長(写真=後藤秀二)

企業のトップに立ったからには、後継者の育成と次世代への事業承継は責務である。しかし、そこには百社百様の課題があり、最大公約数的なアドバイスでは真の解決にはつながらない。野村資産承継研究所では、野村證券の各部署や野村グループ各社と密接に連携を図り、お客様のニーズの多様化、複雑化に対してサービスやソリューションを提供している。

新井 聡 野村證券常務 野村資産承継研究所 代表取締役社長

野村證券は、全国159の本支店・営業所や野村ネット&コールなどを通じて多様な金融商品の取引、各種サービスを提供しています。時代の変化とともにお客様の取り巻く環境も大きく変わり、お客様の悩みやニーズも複雑化・深刻化しています。お客様のお考えをヒアリングし、ニーズや悩みにしっかり対応できるよう私たちも変化し、サービスや商品をさらに充実させてまいりました。

野村グループには、「顧客と共に栄える」という創業時からの理念があり、現在「すべてはお客様のために」という基本観のもと、ビジネスを推進しています。お客様のニーズを深く知ることにより、グループ各社の総力を結集して、ソリューションやサービスを高いレベルで提供しています。そのなかでも、日本では人生の円熟期を迎えるお客様が増加していることから、資産承継や事業承継の相談が増えています。野村證券ではこういったニーズにお応えできるよう、さまざまな機能や部署などを整備してまいりました。

2014年4月から、相続対策の検討・実施に向けてお客様を包括的にサポートするサービス「資産承継あんしんパック」を開始しました。これは税理士法人が監修する「資産承継あんしんレポート」、遺言作成のお手伝いをする「遺言キット」、さらに詳しい相談を希望される方向けの「税理士等の紹介」で構成されています。

2015年4月には、野村ブランドの相続関連サービスとして、野村信託銀行の遺言信託業務、遺産整理業務、および資産承継計画サポート業務の取り扱いを開始しました。

また同月、野村資産承継研究所を設立いたしました。当研究所では、資産承継や事業承継の分野における研究やコンサルティング、関連専門領域の統合的な研究と実務を、世の中一般に情報発信をしていくことを目的としています。

資産承継や事業承継の分野における研究やコンサルティングでは、証券会社の伝統的な業務にとどまらないコンサルティングを行っています。関連専門領域の統合的な研究と実務は、資産承継や事業承継に関連する、税務、法務、制度、金融商品、不動産の統合的なプランニングや研究、実行支援など多岐にわたります。加えて、刊行物の制作発行、セミナーの実施から政策提言なども守備範囲になります。

多くの経営者は企業を未来に続くものに育てたいと考えています。それには、後継者を育成し、円滑な事業承継を行う必要があります。多くのお客様は、税金や法務については、それぞれの専門家にご相談されるでしょう。しかし、現在の企業の承継問題は多岐にわたり、悩みは複雑化しています。

私どもは野村證券ならびにグループ全体で最適な情報やソリューションの提供を目指すことで、百社百様の事業承継における課題をサポートさせていただけると考えています。

野村グループが一体になってお客様にソリューションを提供

現状の金融機関の事業承継に関する提案は、自社の主力ビジネスに関連付いたものである場合が多く、バリエーションが豊富とはいえない点に私どもは注目しました。お客様の事業承継や相続の問題を、野村證券のトータル・ソリューション開発部と野村資産承継研究所が連携して検討し、最新情報やソリューションを、担当者経由でお客様にフィードバックします。

また、野村證券の各部署と関連会社のネットワークも活用しており、例えば、信託銀行・保険事業部は野村信託銀行と、不動産業務部は野村不動産グループと、法人開発部はIPO、M&Aなどのサービスの検討、開発を行う関連部署と連携しています。さらに、提携税理士をはじめとする士業実務者を含め、野村グループ全体でお客様に個別のソリューションを提供しています。お客様には、ニーズを一番把握できている担当者が常に寄り添い、グループとの窓口となります。

戦後に設立された多くの企業のなかには、確かな技術を持ちながら、さまざまな事情で事業の継続を断念されるところもあります。一方、事業拡大のために、M&Aを通じてそのような企業の技術を譲り受けたいと考えている企業もいらっしゃるでしょう。また、先代からの念願であった株式上場に向け、次世代を担う後継者と共に今やるべきことを検討されている経営者もいらっしゃいます。こうした、M&Aによる企業強化やIPOは、私ども野村證券にとっては本業といえる分野です。

野村資産承継研究所がご提供できることは、こうした証券会社の業務の範囲にとどまりません。お客様のゴールを実現するうえでの資産承継や事業承継にかかるさまざまな課題を、お客様との対話により発見し、その課題の解決策をお客様とともに見いだし、野村グループや提携先の機能を用いて解決を目指します。このような取り組みを「ゴールベースド・アプローチ」と表現しています。

さらに、私どもは財務面からもアドバイスしています。それが「バランスシート・アプローチ」と呼ぶ、資産と負債を想定した分析です。金融資産、不動産、未上場株式など、事業によって将来生み出される可能性のある資産から、負債や相続時に想定される納税額を引き、承継される正味の資産を割り出し、納税における資産の確保に取り組んでいただくのです。

資産承継や事業承継をこうしたプランで実行に移すには、資金の確保をはじめ、さまざまな観点から準備が必要になります。税制、経営、法令、不動産や金融資産のマネジメント、各種制度の活用など高い専門的知識を私どもがハブになって統合し、お客様に知見をご提供します。私どもはこのアプローチを「総合的知見」と呼んでいます。これら3つの柱で、お客様の理想的な課題の解決を目指しています。

お客様とともに「ゴール」を目指すパートナー

野村資産承継研究所では、各方面のプロの方々から注目されている季刊『野村資産承継』を発行しています。元高松国税局長で筑波大学名誉教授でもある品川芳宣理事長、最近相続対策で注目されている家族信託の第一人者の遠藤英嗣研究理事など、当研究所の精鋭の執筆陣が専門的な内容をわかりやすく解説しており、企業経営者をはじめとするお客様に当社担当者からお渡ししています。

大きく変化する国内外の動きに対応すべくさまざまなソリューションを活用し、時間をかけてコツコツと対策を積み重ねることこそが、未来に生き残ることができる企業への王道なのだと思います。

そのためには何が必要なのか、答えはお客様自身の中にあります。丁寧な対話を通じて、お客様の考える「ゴール」をお伺いし、野村資産承継研究所がその「ゴール」へ向かうためのお手伝いを全力でさせていただきます。

arai

あらい・さとし◎1965年生まれ。東京大学経済学部卒業後、1988年4月野村證券入社。2007年7月姫路支店長。2009年4月札幌支店長。2011年4月執行役員に就任。2014年4月常務に就任。2015年4月常務営業企画、ライフプラン兼IT担当、野村資産承継研究所代表取締役社長に就任。

野村資産承継研究所公式サイト

文=三星雅人 編集=高城昭夫

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