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2016.03.26 10:31

「育休後進国」アメリカの現実 わずか12%の労働者が利用可能

Halfpoint / shutterstock

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マーケットプレイスのEtsyが、6か月間の給与全額支給の育児休暇を導入する。男女問わず、養子縁組で親になった人も取得することができる。
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Etsyの広報ジュリエット・ゴーマン(Juliet Gorman)は新制度の導入について、「家庭で両親がより平等に役割を担うことで、職場における女性や母親に対する偏見を取り除くためだ」と語る。同社はこれまで母親に12週間、父親に5週間の有給の育児休暇取得を認めていた。

テクノロジー業界では優秀な人材確保のため、育休の期間を延ばす動きが広がっている。アップルやフェイスブックも卵子凍結に補助金を支給するなど、福利厚生の充実を図っている。

2015年にはネットフリックスが正社員に対し1年間の有給の育休を認めると発表した(時間給労働者は16週間のみ)。音楽ストリーミングサービスSpotifyも全世界の従業員を対象に、6か月間の給料全額支給の育休を導入するとした。また、アドビは26週間、イーベイは24週間、ツイッターとマイクロソフト、そしてグーグルは20週間の有給の育休を認めている。
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アメリカには育休を定める法律が無い
アメリカには先進国で唯一、有給の育休を定める法律がない。家族医療休暇法(Family and Medical Leave Act)では12週間の“無給の”育児休暇を導入することを義務付けているが、対象となるのは従業員50人以上の企業に勤めるフルタイムの雇用者のみ。企業の福利厚生で有給の育休が認められているのは12%の労働者だけだ。

この問題に取り組んだ政治家もいるが、成果は出ていない。ニューヨークのカールスティン・ギリブランド(Kirsten Gillibrand)上院議員は2013年、年齢や性別を問わず出産や医療で休む必要がある人に有給休暇を与える制度を提案したが、下院で棚上げされている。

民主党の大統領候補指名を争うヒラリー・クリントンとバーニー・サンダースは、家族に緊急事態が起きた場合に取得できる12週間の有給休暇を提案している。専門家は政策が追い付いていない分野でイニシアチブを取るEtsyなどの企業を称賛するが、資金が捻出できない中小企業にとって過度なプレッシャーになることを懸念している。

女性の仕事マッチングに特化したネットワーキングサイトPowerToFlyの共同創業者Katharine Zaleskiは「素晴らしいことですが、万能薬とは言えません」と語る。

「中小企業にとって男女問わず6か月の有給休暇を与えるのは怖いことです。政府が女性の雇用を推進したいなら、中小企業を支援しなくてはなりません」

女性の労働環境の改善を目指す団体、フェアリーゴッドボス(Fairygodboss)代表、Georgene Huangも、出産や育児に関する福利厚生が充実しているテック系企業の方針を他業種でも導入させるべきだと述べている。

「古い体質の業界では、(テック業界などと)同様に優秀な人材の確保に向けて競争しなくてはならないというプレッシャーがありません」とHuangは語る。

Etsyは有給育休に加え、職場復帰に向けたパーソナルコーチとのセッションを3回まで提供する。また、社内の母親グループは、育休から職場復帰する女性へのサポートを社内に広げるためのマニュアルも作成している。

「出産・育児に関する制度については、有給休暇が注目されがちですが、子供を持つ親に対する企業の支援を充実させたいなら、もっと多角的なアプローチが必要です」とEtsyの広報担当者は述べている。

編集=上田裕資

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