米ホテル大手2社、キューバ進出へ 民泊市場も拡大に期待

ハバナグラン劇場(左)と隣接する「ホテル・イングラテラ」(Maurizio De Mattei / Shutterstock.com)

バラク・オバマ米大統領が約90年ぶりに現職の大統領としてキューバを訪問したことを受け、米国のホテル大手2社が相次いで、キューバへの進出を発表した。

スターウッドホテル&リゾートワールドワイドはキューバのホテル・グループ「グラン カリベ(Gran Caribe)」と提携し、首都ハバナにある有名なホテル3軒を改築・運営する計画。なかでも同社が力を入れるのが、「ハバナを象徴する建造物」とされる「ホテル・イングラテラ(Hotel Inglaterra)」だ。

1875年に建設された客室数は83の同ホテルは、ハバナグラン劇場(Gran Teatro de La Habana)と隣接する。年内にも改装工事に着手し、完成後はスターウッズのラグジュアリーコレクションに名を連ねることになる。

また、「ホテル・キンタ・アベニーダ(Hotel Quinta Avenida)」はスターウッドが展開するホテルブランドの一つ、シェラトンの「フォーポインツ・バイ・シェラトン」に加わる予定。このほかスターウッドは、「ホテル サンタ イサベル(Hotel Santa Isabel)」もラグジュアリーコレクションとして運営する計画で、先ごろ基本合意書に調印した。

スターウッドのトーマス・マンガスCEOは、「豊かな歴史と美しい自然、力強い文化を持つキューバに対し、米国の観光産業全体がこの国に多大な関心を寄せてきたことは間違いない。我が社はその先頭に立てることを非常にうれしく思っている」と述べている。同社は米財務省の承認を受け次第、事業に着手する。

一方、マリオット・インターナショナルは、「キューバでの事業推進に向け、米財務省から承認を得た」「業務提携に向け、地元ホテルと交渉中だ」と明らかにしている。

キューバではホテル業への外資参入が規制されており、地元企業との提携が必要になる。フランスのアコーホテルズやNH、スペインのメリアホテルなど各国のホテルチェーンの多くはすでに何年も前から、提携により同国での事業に乗り出している。

民泊の利用者も急増中

キューバでは数十年前から、政府の認可を受けた一般家庭が自宅の一室を旅行者に貸すシステムがあり、ホームシェアリングが普及している。このシステムは、「カサ・パルティクラール(Casas Particulares)」と呼ばれる。

ホームシェアリング業界大手のエアビーアンドビー(Airbnb)も先ごろ、キューバでの事業拡大を発表した。同社は2015年4月から、米国人観光客を対象にキューバでのサービスを開始しているが、米財務省の承認を得たことから、他国からの観光客受け入れが可能になった。

エアビーアンドビーによると、この一年間に同社のサービスに加入した住宅所有者は約4,000人に上り、キューバは同社が業務を展開する各国の中で最も急速に成長を遂げている市場だという。同社によれば、2015年4月以降に同社を通じてキューバで民泊を利用した米国人観光客は、12万人を超えた。

旅行者に宿泊用の部屋を提供するキューバ人家庭の収入は予約一件当たり平均250ドル(約2万8,000円)で、多くの世帯にとって重要な収入源になっている。

一方、米国とキューバは先月、両国間の定期航空便の運航開始に向け、覚書に署名した。米航空各社は就航に向けて発着枠の割り当てを申請しており、運輸省が現在、調整を進めている。ただし、両国間の旅行には多くの規制が残されており、米国からメキシコ、カナダへの旅行のように気軽に出かけられるようになるまでには、まだ時間がかかるだろう。

編集 = 木内涼子

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