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2016.03.20 16:31

中国が誇るスタートアップ加速都市、深セン市のカオスな魅力

中国・深セン市の街並み(Photo by China Photos/Getty Images)

ノースウエスタン大学でロボティクスの修士課程を修了したジャッキー・ウーは、テック系企業に就職する道を選ばず、母校の仲間らとともにEighty Nine Robotics社を立ち上げた。そして、最初の商品として世界発の家庭用ドローン「Rook」を開発することに決めた。

Rookが目指すのは“空飛ぶ自宅警備員”だ。ユーザーは世界のどこにいても、スマホのアプリから家にあるRookを遠隔操作して、ビデオカメラを通じて室内をチェックすることができる。

先月行われたRookのクラウドファンディングでは、目標額の2倍の資金を調達できた。いよいよ構想を具現化する段階に入ったとき、ジャッキーの担当教授の1人が「米国のイリノイ州はエレクトロニクスの世界ではまだ僻地だ」と語り、中国に行くよう熱心に勧めた。

ジャッキーも、「中国では物事が100倍以上速く進むと言う。そして深センはエレクトロニクス製造の世界の中心地だ」と狙いを定めた。

「空飛ぶ自宅警備員」を中国で開発

中国南部の珠江デルタ地域にある深センは、ほんの35年前までは何もない田舎町だった。改革開放政策の一環として1980年に中国最初の経済特区に指定され、さまざまな経済改革が試され、外国による投資や工場建設も最初に開放された。都市は脅威的なスピードで成長し、1990年代には毎日新しい高層ビルが出現し、3日おきに大通りが完成したと言われる。

人口が1,000万人まで増え、世界最大のエレクトロニクス製造拠点となった深センは、スタートアップが飛躍するための“加速器”の集積地でもある。ハッカースペースは至るところにあり、大手企業が連なり、エレクトロニクスモールでは何でもそろう。

2,000を超える設計メーカーと1万以上のエレクトロニクス工場がしのぎを削り、フォックスコン、テンセント(騰訊)、BYD(比亜迪)、ファーウェイ(華為)、ZTEといった大企業が存在感を示す一方で、Coolpad、Dingoo(丁果)、G’Five(基伍)のような勢いのあるスタートアップがここから巣立って行った。
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編集=上田裕資

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