Phantom 4は機体に搭載されたMovidiusのビジュアル・プロセッシング・ユニット(VPU)「Myriad 2」によって人間のような視覚を持ち、障害物を回避している。「1年半ほど前にDJIのフランク・ワンCEOと会ったとき、彼はドローンの自律飛行を強化する夢を熱く語っていた。操縦が得意でない人でもドローンを楽しめるようにしたいという彼のビジョンに我々は共感し、どうやったら実現できるか一緒に考え始めたんだ」とMovidiusのレミ・エルクザンCEOは話す。
小規模メーカーがインテルやクアルコムとの戦いに勝利
DJIとの提携によって、Movidiusはドローン業界で最重要なチップメーカーの一つとなった。大手らもドローン業界への参入に必死だ。クアルコムはドローン開発者向けのボード「Snapdragon Flight」を昨年発表し、インテルは独自のRealSenseカメラで障害物回避を実現しようとしている。しかし、チップメーカーの究極の理想は、市場シェアが70%を超えるDJIと提携することだろう。
「コンピュータビジョン技術の導入において、DJIは他社の少なくとも一年先を行っている。フランクはその差をさらに広げるだろう」とエルクザンは話す。
グーグルの機械学習プロジェクトにも参加
Movidiusは2005年にアイルランドで設立。調査会社PitchBookによるとこれまでに総額9,500万ドル(約106億円)をベンチャーキャピタルから調達している。同社がDJI以外に提携を公表しているのはグーグルだけだ。グーグルとは、プロジェクト・タンゴ(Project Tango)という3Dセンサーをスマートフォンに装備するプロジェクトで2014年にパートナーシップを締結。初期プロトタイプにはMovidius製のMyriadチップが搭載されている。
また、今年初めには、グーグルで機械学習を担当するグループと提携し、人工知能を搭載した次世代デバイスの開発に取り組んでいる。
「我々は、デバイスに視覚を持たせることに取り組んでいる。現段階ではまだ1歳児レベルの視覚しか実現できていないが、将来的にはデバイスが完全に自律走行できるようにしたい。道のりはまだ長い」とエルクザンは話す。