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ㅤ鎌倉市在住のフリーランスライター兼編集者

堀場製作所 雅風荘(photographs by Michinori Aoki)

国内外の賓客をもてなす企業の「迎賓館」。それらはときに名建築であり、文化遺産であり、企業の精神そのものを表す。
連載第2回は、社長自ら遊び心満載の改築を施し、訪れる人みな開襟の境地に至らせる「雅風荘」を訪問した。


京都は迎賓館を持つ企業が多いと聞くが、社長の実家を改築した迎賓館というのは珍しいかもしれない。

昭和初期に山持ちが建てたという本格的な総檜造りの家に、代表取締役会長兼社長の堀場厚氏は小学3年生から大学時代まで住んでいた。立地は鹿苑寺金閣にほど近く、当時は2階の瓦屋根から京都が一望できたという。堀場は大学卒業後にオルソン・ホリバ社入社のため渡米、家は社内の懇親会などに利用されるようになった。しかし30年を経て、堀場はある決断をする。「ここを賓客を接待できる本格的な迎賓館にする」。陣頭指揮をとったのは、桂離宮の修復を手がけた宮大工。堀場自身も遊び心満載の数々のアイデアを出し、平成15(2003)年、日本家屋の趣はそのままに「雅風荘」が誕生した。

訪問客で特に感激するのは、海外の取引先のトップだという。日本文化がそこかしこに息づいた空間で口がほころぶのだろう、互いの国の文化や家族にまで話が及ぶ。日頃、HORIBA製品に厳しい注文をつけるばかりだったドイツの自動車メーカーの技術担当役員などは、「これほどの企業文化、ファミリー文化を持つ会社と我が社がビジネスリレーションを持てたことは非常に幸せです」と感銘した面持ちで堀場に握手を求めてきたそうだ。

また年に2回、世界各国のグループ企業の幹部が約50人集まって行うグローバル経営会議のあとも、ここに集って宴を囲む。すき焼き鍋を堀場自らの手で振る舞い、決意表明をみなであらためて心に刻む。

改築は1年がかり、総工費は2億円近くにのぼった。建築設計士には「立て替えたほうが安上がり」と苦笑された。しかし堀場は一流のものを身近で愛でるということ、本物にこだわるということが“ものづくり日本”の原点であり、HORIBAスピリットでもあるという。ラグビー用語の「ONE STEP AHEAD」を、自己流に「古き良き伝統を守りつつ、時代に沿った改変を加えて次のステージへ」と解釈する堀場にとって、雅風荘はまさにその象徴である。


企業名:株式会社堀場製作所
所在地:京都府京都市南区
設立:1953年
事業内容:自動車計測、環境・プロセス、医用、半導体、科学と5つの分野における分析・計測機器の製造・販売
売上高:1,530億円(2014年12月期)
従業員数:連結6,800人(2015年9月末)

堀 香織 = 文 青木倫紀 = 写真

 

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