2008年にアイオワ州の男性が、「性的描写を含むマンガを所有していた罪」で投獄されたのだ。クリストファー・ハンドリー(Christopher Handley)という名の男性は『未完成制服少女』など「未成年者が性的行為に及ぶ6冊のマンガ」を所持していた罪で6か月間服役。その後3年間、当局の監視下に置かれた。
日本のマンガに出てくるキャラクターは子犬のような瞳をしているため、たとえ成人であっても子供のように見えてしまう。同人マンガのキャラクターの年齢を判断するのはかなり難しいことだ。
この事件で被告の弁護を務めたエリック・チェイスは、「日本では陰毛を描くことが禁止されているため、キャラクターが必然的に若く見える。問題の作品に子供は登場していなかった。マンガの中の単なる卑猥な描写に過ぎない」としていた。
懲役20年が科された可能性も
ハンドリーには最高で懲役20年、罰金25万ドル(約2,800万円)が課される可能性があったため、彼は司法取引で罪を認め、結局は懲役6か月が言い渡された。ここで重要なのは、彼に起きたことは誰にでも起きる可能性があるということだ。マンガの表現の自由を守るNPO、コミック弁護基金(Comic Book Legal Defense Fund)代表のチャールズ・ブラウンスタイン氏は次のように語る。
「こういった罪に問われた人々は、複数年の懲役刑を言い渡され、児童性犯罪者として登録されるため、罪を認めて減刑を求める傾向があります。ハンドリーの裁判の後もそれは変わっていません。つまり、この種のコンテンツを米国に持ち込むリスクは未だに存在するのです」
コミック弁護基金では、マンガをアメリカに持ち込みたい人々が参考にできる資料をウェブで公開している。2012年には米国民がコンピューター上に相撲マンガのパロディを保存していたとして、カナダの税関で引っかかった。ブラウンスタイン氏によると「この画像にわいせつな要素はなかった」という。