国際物流を「近代化」した米フレックスポート、顧客重視の概念も導入

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国際輸送サービスのフェデックスやUPSは、「輸送」という業務の体制を整え、そして築き上げてくれた。誰でも簡単に荷物を送ることができ、パソコンやスマートフォンを使えば、今その荷物がどこにあるのか、簡単に追跡することができる。

しかし、9兆ドル(約1,022兆円)規模の国際物流ビジネスは、既存のモデルで今後さらなる成長を期待することはできないだろう。例えば中国から米国向けにおもちゃを入れた木箱を輸送する場合、ある会社が木箱を梱包する作業を行い、別の業者が貨物船への積み込みを行い、その他の複数の企業が、海を渡っての品物の移動に関わる。さらに、書類の手続きの問題もある。税関の申請書類や輸送する品物の申告はほぼすべて実際に紙に書き込む必要があり、それらはFAXで送信される。そして、それを追いかけるように世界中のあちこちから、貨物の所在を問い合わせる電話がかけられている。

こうしたなかで登場したのが、サンフランシスコでフレックスポートを起業したライアン・ピーターセン(35)だ。世界で最も古い産業ともいえる貨物輸送業に自動化システムを導入し、21世紀のビジネスに変革しようとしている。同氏によれば、小さな荷物の配送とは異なり、「貨物輸送の世界には顧客経験を重視するという考えが欠如している」。

「依頼の受け付けから配達まで、一貫して自社で賄える企業が存在しない。貨物は複数の企業の手から手へと次々と引き渡されながら、目的地に到着する」。

そこで同氏は、こうした一貫性のないシステムに効率化をもたらすウェブベースのソフトウェアを開発した。大型の品物の輸送を依頼する企業はそのおかげで初めて、発送から追跡、管理までをインターネット上の一つのダッシュボードで行うことができるようになったのだ。それも、自社で多額の費用をかけて、ソフトウェアの開発やその導入を行わずに、だ。フレックスポートはこのソフトウェアを無償で提供し、実際に品物が輸送された時にのみ料金を請求する。従来の輸送業者に、真っ向から戦いを挑む恰好だ。

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編集 = 木内涼子

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