考え得る原因は──
現段階では推測に過ぎないが、こうした状況を招く原因と考えられる問題は複数ある。そのうちの一つが、その人自身が原因を作っている場合だ。身長が低い男性と太った女性は、うつや自尊心の低さに悩む割合が高く、これらは自己制限(「できない」との思い込みで自分を制限する状態)につながる。
また、周囲からの差別という問題もあるかもしれない。フレイリング教授によると、「背の高い男性がより良いリーダーになると考えられている証拠がある」。「オランダで行われた調査の結果、同じ男性と女性の写真を加工し、身長が高く見えるようにした場合と低く見えるようにした場合では、背が高い男性の方がよりリーダーらしくみえると評価された。女性の場合は、身長による影響はなかった」という。
これらの結果は、私たちを進化の過程に立ち返らせる。背が低い男性や太った女性は、狩猟や子孫を残すという点において最適の相手とはみなされていなかったのかもしれない。
人の価値を判断する際に外見にこだわることは当然、現代の社会では受け入れられない。私たちが明確に認識していない問題を含め、さまざまな社会現象について原因を特定しようとする研究は、人間のあり方に関する潜在的な問題について私たちに教えてくれるほか、適切な認識を持つことを助けてくれる。認識が社会に広まれば、私たちがそれらを変えられる可能性も高まるだろう。