「魔の18か月」を乗り越える強いリーダーシップ

GEのジェフリー・イメルトCEO

成熟した企業には、それなりの進化の道がある。日本の大企業にできることとは?

今多くの企業が「イノベーション」を起こそうと躍起になっている。だが、本当に重要なのは「ビジネス目標を達成するには、どのようなイノベーションが最適か?」という問いだ。それによって、現在の目標を達成できるか、そして、将来も競争力を維持できるかという点である。

経済学者のヨーゼフ・シュンペーターは、「イノベーション」を1. 新しい発明、2. 新しい組み合わせ、の二つに大別した。何も、一から何かを生み出すことだけがイノベーションという訳ではない。今も試されていない無数の組み合わせがあるはずだ。大切なのは、今日の世界、そして未来にふさわしいビジネス目標を考え、それを実現するために必要な要素を集めることだ。

イノベーションを考える際、シリコンバレーの企業に例を求める傾向がある。だが、これには注意すべき。なぜならグーグルやアップルは革新的な企業だが、特異な例だからだ。グーグルは自動運転車や気球からWi-Fiを飛ばす大胆な実験をしているが、それを可能にする企業文化と圧倒的な資金力があることを忘れてはいけない。片や、アップルにはスティーブ・ジョブズという天才的なビジョナリーがいた。

大企業には、リソースや企業文化の面からも、これらの企業のようにイノベーションを起こすのは容易ではない。例えば、米複合企業大手GEは30万人以上の従業員を抱える世界的企業で、航空エンジンや風力タービンなどの重工業製品も製造している。当然、スタートアップと同じようなイノベーションは不可能だ。

それでも、彼らの方法論から学び、自社の職場環境に転用することはできる。顧客との迅速なやりとりや実用最小限の製品開発(MVP)といった特長を取り入れることは可能だ。実際、GEは「ファストワークス」というスタートアップ型の新規ビジネス開発プログラムを立ち上げた。すでに、新規事業の開発にも成功している。

同社の関係者は、それを「スタートアップ精神と他社の方法論、GEの伝統を組み合わせて3等分したもの」と表現している。GEの試みは、日本の企業にも参考になるはずだ。

次ページ > 新規事業にとって危険な「魔の18か月」

編集 = Forbes JAPAN 編集部

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事