Jetは、これまでにベンチャーキャピタルからの出資と借入を含め、総額7億ドルを調達している。一方、Hayneedleは過去3年間に渡って身売り先を探していた。
Jet社のマーク・ロアCEOは「今回の買収によって利益率の高い家庭用品の販売を強化できる」としている。ニュージャージー州ホーボーケンに本拠を置くJetは、会費50ドルの会員制オンラインストアとしてスタートしたが、昨年10月に有料の会員制度を廃止している。
「Jetの狙いは売上規模を拡大することだ」とHayneedleの競合であるDot & Boのアンソニー・スーフーCEOは話す。ロアCEOは以前、ウォール・ストリート・ジャーナルの取材に「今後5年間で15億ドルを投じて1500万人のユーザー獲得を目指す」と語っていたが、Hayneedleを傘下に収めることにより、売上高を一気に3億5000万ドルも増やすことができる。
Jet社の流通総額は昨年567億円
この他にも、Jetはオハイオ州とカリフォルニア州にあるHayneedleの倉庫を手に入れることになる。先月末のインタビューで、同社は2015年の流通総額が5億ドル(約567億円)に達したことを明らかにしているが、Hayneedleの買収は物流の改善にもつながる。
しかし、これらのメリットを踏まえても、シナジー効果に懐疑的な見方をする専門家は多い。ある関係者は、Jetは紙タオルや石鹸などの日用品をディスカウント販売するのが得意だが、サイズが大きい家具の販売は販売手法もロジスティクスも異なるため、これまで培った強みを活かすことはできないだろうと話す。
また、この関係者によると、過去には家具の通販サイトWayfairや家庭用品の店舗販売を行っているWilliams-SonomaなどがHayneedleの買収を検討して見送ってきた経緯があるという。Hayneedleはこれまで総額1億ドルをInsight Venture Partnersやセコイア・キャピタルから調達しており、投資家たちはエグジットを模索し続けてきた。
セコイア・キャピタルの広報担当者にコメントを求めたが、回答は得られなかった。別の関係者によると、Hayneedleは資金繰りに窮していたという。
Hayneedleは2002年にハンモック・ドットコムとしてスタートし、次々と新しいサイトを立ち上げた後に、全てのサイトをHayneedle.comに統合した。Jetは、Hayneedleを子会社として存続させ、約500人の従業員は解雇しないとしている。Jet.comのマーク・ロアCEOに買収の詳細についてコメントを求めたが、回答を得ることはできなかった。