顧客サービスの訓練とは、どのようなものだろうか。企業はまず、従業員に適切な訓練を受けさせるためにふさわしい人材を採用しなくてはならない。そしてその訓練は、継続的に実施する必要がある。
四半期ごとに従業員たちを集めて丸一日、あるいはそれ以上、訓練を受けさせることではない(企業によってはそれも悪い方法ではないが)。毎週行っているチームごとの会議で5~10分間、顧客サービスについて話し合ってもらうという基本的なもので十分だ。
次に、顧客サービスそのものについて考えてみる。ウォルマートは、何で名を挙げたいのだろうか?
上述のとおり、多くの人はウォルマートやサムズで特別な対応をしてもらうことを期待していない。一方で、粗末な接客態度も望んでいない。高級百貨店のノードストロームのようなサービスではなくても、親切な店員たちに、客として大切に扱われているという実感が得られるようなサービスを受けたいのだ。
リテイル・ワイヤーは、「顧客満足度の高い店舗には知識の豊富な店員がおり、そうした店員らが売上高の増加に貢献している」とのペンシルベニア大学ウォートン・スクールの調査結果を挙げている。こうした店員がほしくない店などないはずだ。
そこで、ウォルマートが改めて考えるべきなのは、次の点だ。世の中に、万能な者はいない。最低価格と素晴らしい顧客サービスを両立できる企業など、ほとんど存在しない。ウォルマートやその他の各社にできることは、それぞれの長所を生かすことだ。
そして、ウォルマートの強みといえば値段の安さだ。マージンがほとんどないウォルマートの値段で、ノードストロームのようなサービスを提供することは難しい。だが、2つの間を取ることはできるかもしれない。