フォーブス ジャパン編集部 編集者


GHITは、官民パートナーシップであるのに加えて、複数の同業企業が集まっている。さらに日本の公益法人には珍しく、理事の顔ぶれは国際色豊かだ。混乱はなかったのか。スリングスビーは言う。

「外 務省、厚生労働省、製薬各社の立場は三者三様で、GHITに参加するインセンティブが違います。それぞれの期待値を満たせるようなスキームが求められてい ました。立場によって期待は異なりますが、その重なる部分に対して結果を出せるようにしました。GHITは官民の出資比率が50:50と、他の国際機関に 比べて民間の出資比率が高いのが特徴で、これは政府にとってメリットが大きいスキームではあります。一方で、民間からの出資比率が高い分、運営者は民間企 業と同等の結果やマネジメントを要求されます」

まず、組織運営は、各社からの出向という形をとらず、正社員のスタッフを確保した。「同じ 製薬業界といえども、各社の社風や考え方はかなり異なります。出向にすると、それぞれの社員が背負っている会社の常識や、仕事の仕方が違いすぎて、それが 運営上の課題になると考えました」

また、スタッフの人数は最小限に抑え、新薬開発に使える資金を最大化した。通常の国際機関の場合、資金全体に占める管理費の割合は15〜20%程度が平均的なラインだ。これに対し、GHITは5%程度に抑えている。

さらに、理事を国際的なメンバーで構成することで、グローバルに展開しやすい態勢を整えた。

「GHITの設立について、スリングスビー個人のイニシアチブは大きかったと思います。最初は私も『実現できるだろうか』と思ったほどでしたが、彼は非常にアクティブで、日本語も私よりうまいくらい。非常に稀有な人材です」。エーザイの内藤CEOは、こう言って笑う。

スリングスビーは13年、GHIT設立にあたってエーザイを退社し、GHITのCEOに就任した。

BT スリングスビー◎1976年、米国生まれ。2000年ブラウン大学卒業、01年スタンフォード大学大学院を経て、京都大学(修士)、東京大学(博士)、 ジョージ・ワシントン大学(医学博士)を修了。10年エーザイ、 グローバルアクセス戦略室室長。 13年から現職。39歳。

フォスター・マーティン、大木戸 歩 = 文 ダミエン・シュマン = 写真

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