当初、エジンバラ郊外の街リースにあった5ホールから始まり、紆余曲折を経て、1891年、現在の地に移された。コースの設計は、全英オープンで4度優勝し、当時設計家としても有名だったオールド・トム・モーリスが行った。第1回全英オープンが開催されたプレストウイックを意識した、ホールごとに風の方向が変わるループ状のルートプランが採用されている。
その後、1895年にハリー・コルトが大改造を行い、アウト9ホールは時計回りに外円を描き、イン9ホールはその内側を逆方向に回るコースに生まれ変わり、世界有数の名コースの仲間入りを果たした。
さて、肝心のプレー当日は生憎の雨。しかし、プレーヤーはみんな何事もなかったようにティーオフしていき、私たちも18ホールを堪能すると、まずはクラブハウスに戻りタイとジャケットに着替えて食堂でランチタイムである。
長椅子が4脚だけの質素な食堂で、それぞれ詰めて座っていくので否が応でもいろいろな方とお話しすることになる。私たちは、幸運にもこの倶楽部の名誉書記と同席することになり、しばし倶楽部の歴史などを歓談したものである。ちなみに推薦人が25人必要だという情報はそのときに教えていただいたものである。
食事はフリーメーソンの伝統よろしく英国にしては珍しく美味で、なかでもローストビーフは絶品だった。ランチを堪能するとまた着替えて2ラウンド目に突入するのがお決まりであり、もちろん私たちも意気揚々とティーグランドに向かった。
倶楽部史によると、ここでのプレーは、2人対2人で、それぞれひとつの球を打つフォアサムが基本であり、クラブハウス内の掲示板には、プレーヤーがそれぞれの球を打つフォアボールは週末や国民の休日では禁止されていると書かれている。
フォアボールに慣れているプレーヤーは文句を言うらしいが、メンバーは平気な顔で、フォアサムを36ホール4時間半で回れば、フォアボール18ホールと同じ数だけのショットを打てるし、倍の運動量で、ものすごく楽しいゴルフができるだろうと言い放つそうである。そのスコットランド人気質に乾杯!
世界最古のゴルフ倶楽部という組織
スコットランドの首都エジンバラの東に位置するミュアフィールドは、全英オープン開催コースのなかでも屈指の難コースだ。7192ヤードでパー71。アウトはコースの外周に沿って時計回りに9ホールが続き、インはアウトの内側に反時計回りに9ホールが配され、風がプレーヤーを翻弄する。コースの名声とともに、1744年、世界初のゴルフ倶楽部という組織体を設立したことでも有名だ。
2013年、ミュアフィールドで開催された第142回全英オープンでは、米国のフィル・ミケルソンが通算3アンダーで逆転優勝、初の全英勝利を飾った。同大会では松山英樹も、タイガー・ウッズらと並び6位に入賞。1980年大会では、青木功が現在もメジャー最少ストロークタイ記録として残る63をマークしている。
クラブを背に立つ筆者。