彼以上にナンバーワンヒットを世に送り出したプロデューサーは他に誰もいない。長年にわたるその輝かしいキャリアにおいて、彼がプロデュースした23もの楽曲がビルボードのホット100で第1位となった。
ここで注目したいのは、1位を獲得した楽曲のほとんどがビートルズの楽曲だが、他のアーティストと発表した曲でも1位になっている点だ。23曲中19曲がビートルズだが、その後ソロ活動を始めたポール・マッカートニーやロック・バンドのアメリカ、エルトン・ジョンと制作した曲も第1位に輝いた。
ちなみに、アメリカでナンバーワンを獲得したビートルズの楽曲の中で、唯一ジョージ・マーティン以外がプロデュースしたのは、フィル・スペクターが制作した『The Long and Winding Road』のみだ。この曲のレコーディングは当初、マーティンの指揮下で進んでいたが、発売されたのはフィル・スペクターがオーケストラやコーラスの音源を付け加え、再制作したバージョンだった。
ビートルズの解散後、ジョージ・マーティンはポール・マッカートニーとマイケル・ジャクソンの『Say Say Say』、マッカートニーとスティービー・ワンダーの『Ebony and Ivory』、そしてアメリカの『Sister Golden Hair』をプロデュースし、すべて1位に送り込んだ。また、エルトン・ジョンが1997年にダイアナ妃が亡くなったのを受け再制作した『キャンドル・イン・ザ・ウィンド~ダイアナ元英皇太子妃に捧ぐ』は、彼の最後のナンバーワンヒット曲となった。
「二人目のマーティン」も記録を更新中
23曲ものナンバーワンヒットを世に送り出したプロデューサーはジョージ・マーティンだけだが、それに続く記録を持つのが現在45歳のスウェーデンの音楽プロデューサー、マックス・マーティンだ。昨年、彼が手がけたテイラー・スウィフトの『Bad Blood』がビルボードで第1位を獲得し、彼にとって通算20曲目のナンバーワンヒットとなった。
今のところ、20曲以上のシングルをアメリカでナンバーワンヒット曲に仕立て上げた人物は、この2人のマーティンだけだ。その功績は間違いなく驚嘆に値する。