ニューヨーク州会計検査院が3月7日発表した、ウォール街の銀行や証券会社が社員へ支払った平均賞与額は前年比 9%減。金融市場の低迷を示す結果となった。しかし、報告書に記載された賞与額は庶民から見れば涙が出るほど高額だ。
2015年のウォール街の平均賞与額は14万6,000ドル(約1660万円)。平均給与は25万ドル(約2800万円)。年収総額は実に約4500万円に及ぶ。「週に120間働く」とも言われる彼らは(もしそれが本当ならば)、時給にして約63ドル(約7000円)を手にしている。これはニューヨークの企業の平均の約6倍の報酬だ。
ニューヨーク州労働局によると、ニューヨーク市では過去二年間に24万8000人の雇用が創出された。しかし、世界中に拠点をもつゴールドマンやJPモルガンは、この雇用増加に差ほど役割を果たしてはいない。同じ二年間で証券業界が雇用したのは6,900人と、ニューヨーク市全体の雇用増加数の2.7%を占めるに過ぎない。
「ニューヨーク市では従来、証券業界が景気回復期における雇用創出の牽引役を担ってきた。しかし、現在の状況は違っている」と会計検査院所長は述べた。だが、金額ボリュームだけに目を向けると、ニューヨーク市の財政は依然としてウォール街に大きく依存している。同市における賃金全体の4分の一近くを金融業界が占めているのが現状だ。
有価証券報告書によると、投資会社ブラックストーン・グループの共同創業者兼CEO、スティーブン・シュワルツマンと同社不動産投資部門を率いるジョナサン・グレイの昨年の年収額は、併せて8億ドル(約900億円)にも上る。大手投資会社KKRの共同創設者、ヘンリー・クラビスとジョージ・ロバーツらも、2億ドル(約225億円)を超える収入を得ている。