同地域で最大の富豪(世界では4位)はメキシコのカルロス・スリム。しかし、その資産額は500億ドル(約5.6兆円)で、過去12か月でマイナス271億ドルと大幅に目減りした。原因は主に、同氏が率いるラテンアメリカ最大の通信会社アメリカ・モービル(America Movil)の業績が振るわなかったことにある。最新版の番付に名を連ねた富豪の中で、資産を最も減らしたのはスリムだった。
メキシコの富豪は今回、前回より2人少ない14人だった。だが、ゲルマン・ラレア・モタ・ヴェラスコ(92億ドル)とアルベルト・バイレレス・ゴンザレス(69億ドル)は、ラテンアメリカ全体でのトップ10に入る。
ブラジルで1位の富豪は、ジョルジ・パウロ・レマンだった。ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(Anheuser-Busch Inbev)株の10%を保有する同氏の資産額は、278億ドルだ。
景気後退が続くブラジルだが、依然として同地域では最も多い31人がランク入りした。ただし、通貨レアルが対米ドルで29%下落、GDPが減少したことから、リストに名前が挙がった人は前年より23人減っている。同国の富豪第2位以下は、金融グループを率いるジョセフ・サフラ(172億ドル)、資産家のマルセル・ヘルマン・テレス(129億ドル)とカルロス・アルベルト・スクピラ(113億ドル)だった。
チリの富豪は前回より2人少ない10人。産銅大手アントファガスタ(Antofagasta)を所有するイリス・フォントボナと子どもたちが同国最大の富豪で、保有する資産は合わせて101億ドルとなる。
コロンビアでは、83歳の銀行家ルイス・カルロス・サルミエントが89億ドルで1位となった。