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フォーブス ジャパン Web編集部 編集長


谷本:日本では2月にマイナス金利を導入しましたね。マイナス金利の効果は、どのくらいから見えてくるのでしょうか。

伊藤:マイナス金利のインパクトは、瞬間的な市場心理に対する影響よりも、半年や一年かけてじわじわと効果が出てくるものです。いまの状況だけを見て、マイナス金利の影響がどこに出ているか判断するのは難しいですね。

黒田総裁がマイナス金利を打ち出したのと同時並行的に、世界でも様々な問題が起こってもいますから。

マイナス金利の導入を大騒ぎしていますが、実際は既存の銀行の当座預金に対しては金利をつけてるわけですから、かなり影響力が弱い形での導入です。理論的には、さらに強めるということは十分可能ですよね。ただ、それをどこの段階でやるのかやらないのか、ということは、わかりませんけどね。

マイナス金利の是非については様々な議論があります。一つ言えることは、構造的な不況に対して、2013年にすでに量的緩和という禁じ手を使っているために、もうマイナス金利に踏み込むしかなかったということです。

谷本:金融政策以外にも打つ手があるのでしょうか。

伊藤:サプライサイドの改革ですね。ローレンス・サマーズも、「先進国がスタグフレーション、高齢化とバブルの崩壊から抜け出す一番有効な手立ては、イノベーションだ」と言っています。

IoTやAI、バイオなど、イノベーションの種はいくつもあるわけですから、しっかり前向きにとらえて、投資も誘発するような形にするといいでしょう。

谷本:日本もIoTやAIの技術を持ってはいながら、なかなかそれを活用できていません。海外などではIoTやAIの専門的な会社があるにもかかわらず、日本には出てこないですよね。日本は今後、どういうところで産業としてつなげていかなくてはいけないのでしょうか。

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伊藤:IoTやAIは、ルンバが象徴するように破壊的な技術です。日本は既存産業が強く、IoTやAIのような破壊的イノベーションを受け入れにくい。たとえばアップルがどんどん伸びてくると、日本のガラパゴス携帯が廃れてしまう。

だけど、デバイスの企業はどんどんチャンスが増えてきているわけです。あるいは、資本財もどんどん増えている。

間違いなく、5年後10年後の日本の主力産業というのは、特に輸出は製品ではなくデバイスや、素材、資本財になるわけです。そういう中で日本は日本の強さを発揮していけばいいのかなと。そのためには規制緩和をすることが大事ですね。

伊藤元重◎東京大学大学院経済学研究科教授。現在、経済財政諮問会議の民間議員を務める。東京大学経済学部卒、米ロチェスター大学大学院経済学博士。

文=吉田彩乃 編集=谷本有香

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