ビジネス

2016.03.15

アイデアを生み出すコワーキングスペースの使い方

三越伊勢丹本店で再開発部門を担当していた根石賢太郎。「Clipニホンバシ」にて。


この場で企画した新規事業を必ず船出させます! 植松直樹(凸版印刷)

コワーキングスペースには多種多様な人々が集う。ビジネスマン以外にも、起業を志す者、クリエイティブな職業の者など職業も年齢もさまざまだ。
 
凸版印刷で新規事業を立ち上げる部署で働く植松直樹は、上司とともに「Clipニホンバシ」を見学した際、会員たちが自由に自分の事業アイデアやプロジェクト企画を次々とプレゼンしていく「ピッチ大会」に参加してショックを受けたという。

「印刷営業の仕事はお客様の課題を聞き出し、それを解決するのがメーン。主語は客先でした。ところがここでは誰もが主語が自分自身。新鮮でした。私もここに身を置いてみたいと痛切に感じ、さっそく会員になりました」

すぐに事業を立案しイベントに参加した。専属のコンサルのアドバイスを受けながら、エンタメ業界などの人とチームを組み、定期的にミーティングを重ねた企画が、継続検討事業として採択された。現在、この事業に賛同してくれた自治体と事業化への具体的話し合いをする段階までたどり着いた。取材の日も最後の詰めを話し合うための打ち合わせを終えたばかり。

「まだこれからどんな策を講じていけばいいか議論をしている段階ですが、これだけ素早く展開できたのは、ここにいる経験者の人からアドバイスを受けることができたから。とはいえ、ここを利用するようになって何より変わったのは私自身のリスクの捉え方。どうなるかわからないけどやってみようという発想と、新規事業を実現するやり方を知り、成功の“打率”が上がったように感じています。今は若い人に相談されても、取り組んでみるべきだと言えるようになった。成長できたと思っています。ここを紹介してくれた部長には最近、“お前、最近ここに来すぎだろ”と冗談半分に叱られます(笑)」

ここで家族ぐるみでキャンプに行ったりできる友人も増えたので、家族にも喜ばれているという。

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この日のミーティングには全面ホワイトボードの会議室を利用。「他業種の人の考え方を知ることで、自分たちの業界の弱点と武器を知ることができたのは大きな成果」と植松は語る。

吉澤健太、佐藤哲郎、矢木隆一 =写真 吉田彩乃、鈴木裕也=文

この記事は 「Forbes JAPAN No.20 2016年3月号(2016/01/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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