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2015年のコーチェラ・フェスティバル (Photo by Frazer Harrison/Getty Images for Coachella)

全米最大規模の音楽フェス「コーチェラ・フェスティバル」を運営するゴールデンボイス社(GoldenVoice)は今夏、ニューヨークで「パノラマ・フェスティバル」と題した音楽フェスを開催すると発表した。

ニューヨークでは既にガバナーズ・ボール(Governors Ball)という別のフェスが夏の一大イベントとして定着しており、パノラマはそこに割って入る形だ。ゴールデンボイスは全米各地でフェスを主催しているが、東海岸に進出するのはこれが初めて。パノラマは2016年7月22~24日の3日間、Randall’s Island Parkで開催される。

パノラマには既にトップアーティストら(アーケイド・ファイア、アラバマ・シェイクス、メジャー・レイザー、シーア、ケンドリック・ラマー他)の出演が決まっている。しかし、ひとつ腑に落ちない点がある。ゴールデンボイスはニューヨーク進出にあたり、なぜ「コーチェラ」のブランドを掲げなかったのだろう。

コーチェラは近年のアメリカで最も成功した音楽フェスティバルだ。2015年4月、カリフォルニア州コーチェラ・ヴァレーには約20万人が集い、8,426万ドル(約98億9,000万円)という驚異的な売上を達成した。チケット売上だけでも相当な額だが「コーチェラ」ブランドは、旅行からファッションまで様々な分野で利益を生み出している。

これほど有力なブランド名がありながら、それを利用しないのはなぜだろうか。「パノラマ」が何たるかを人々に知らしめるために費やさなければならない労力も広告費も、無駄なように見える。もちろん、業界の内情に詳しい関係者やファンも中にはいるが、「コーチェラ」と「パノラマ」の主催者が同じだということを知っている人はほとんどいないだろう。

第一回となる今年の「パノラマ」チケットは、出演アーティストの充実ぶりと昨今の音楽フェス人気から、完売する可能性は高い。しかし、コーチェラというブランド名を利用すれば、さらに成功は確実になるだろう。

コーチェラの主催者らは、ブランド名の拡大を恐れているわけではない。事実、コーチェラは数々の有名企業と提携している。1999年に始まったコーチェラは当初、二日間のみの開催だったが、近年は2週連続で週末3日間に開催される規模に拡大した。チケットは順調に売れており、世界でも稀なイベントに成長した。

ひとつのイベント名が世界各地で使われている例はたくさんある。例えば、ロラパルーザやウルトラ、ロック・イン・リオといったフェスは、すべてひとつの開催地から始まり今や様々な国で開催されている。「パノラマ」が「コーチェラ」の名を使えば、コーチェラもその一員になれただろう。パノラマ・フェスが期待通りに成功しなければ、フェスティバルの名前を変更するのが妥当かもしれない。

「コーチェラ」ブランドがこの目的で利用されないとなると、コーチェラ・フェスがカリフォルニア州インディオのコーチェラ・ヴァレー以外で開催される可能性は低そうだ。しかし、ゴールデンボイスがいつか「コーチェラ」ブランドで海外進出を図るとなれば、それがどこであろうと音楽ファンに歓迎されることは間違いない。

編集=上田裕資

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