グローバル・イクイティ・リサーチ(Global Equities Research) のトリップ・チャウダリー(Trip Chowdhry) は、ティム・クックCEOとルカ・マエストリCFOが退任すべきだと主張している。彼は後任のCEO候補にiMacとiPodの開発で主導的役割を果たし、2006年にアップルを去ったジョン・ルビンスタインの名を挙げる。また、CFOには1996年から2004年までアップルのCFOを務めたフレッド・アンダーソンの名前を挙げている。
チャウダリーは、アップルのPER(株価収益率)が10.2倍と、S&P 500の21.3倍を著しく下回ることを主張の根拠にしている。どうやらチャウダリーは2015年のGAAPベースの利益を基にPERを算出しているようだが、FactSetがアップルの過去 12ヶ月の利益を基に計算した PERは17.1倍、将来の予測利益を基に計算したPERは15.7倍となっている。(編集部注:筆者はアップル株を保有している)
間抜けな社員は別の間抜け者を連れてくる?
チャウダリーは、「ティム・クックとルカ・マエストリは、経営に対するビジョンもパッションもまるで持ち合わせていない。また、多額の借金をして自社株買いを実施したことは大失敗だった」と二人をこきおろしている。彼の批判はさらに続く。
「スティーブ・ジョブスはかつてこう言った。間抜けな奴は別の間抜けを連れてくる。気が付いたら間抜けだらけになっていることを、“bozo explosion(間抜けの爆発的増加)”と呼ぶ。現在のアップルはまさにその状態だ」
チャウダリーはアップルの失策として以下の点を挙げている:
・自社株買いに1100億ドルも費やした
・430億ドルもの配当金を支払った(筆者がアップルのサイト上の情報を基に計算したところ、387億ドルだった)
・借入金が630億ドルと大幅に増加した
一方で、チャウダリーは2160億ドルものキャッシュについては一言も触れていない。彼はティム・クックやルカ・マエストリ、アンジェラ・アーレンツが交代するべきだと主張するばかりで、余剰キャッシュの有効な使い道については何も提案していないのだ。