ビジネス

2016.03.11

巨大企業GEが導入したスタートアップの働き方

GEのイノベーション推進責任者、ビビアン・ゴールドスティーン(写真=ジュリー・ビッドウェル)



昨年4月、アメリカ本社を皮切りに世界中のGE支社で始まった「新しい働き方」がある。ファストワークスの考え方や手法を社員の日々の業務にも取り入れた「ファストワークス・エブリデイ(FastWorks Everyday)」だ。

ファストワークスによる科学的実験の効果が全社的に実証されたことを受け、さらにGEの企業文化そのものを変革する個人レベルのプログラムが行われているのだ。

ゴールドスティーンは詳細をこう説明する。「例えばプレゼンの準備やエクセルの作業もそうです。仕事の内容は関係ありません。考えるべきことは同じです。顧客は何を求めているのか、解決すべき問題は何か、見落としていることはないか。検証して最善の解決策を見つけ、学習するのです」

都内の日本GE本社ビルの一室に各事業部門から選抜されたメンバーが集まったのは昨年9月のこと。ファストワークス・エブリデイの取り組みを指南するエバンジェリスト(伝道師)がアメリカ本社から来日したのだ。

日本GE側の推進責任者、大塚孝之は日本初のセッションをこう振り返る。「参加者は貪欲に理解しようとしていました。自分たちの働き方が大きく変わろうとしていることに気づいたからです」

セッションの狙いは、社員の仕事に対するマインドセットの変革にあった。エバンジェリストのひとり、キーラ・ベレンスは言う。

「社員はプログラムを通して自分を試し、失敗を経験し、そして顧客にとって何が重要かを学ぶ。顧客に寄り添い、顧客に選ばれる存在であり続けること。その行動様式こそが、イノベーションを生み出すGEの新しい仕事のやり方になるのです」

ゴールドスティーンは取材を受けるたびに、「ファストワークスはもう完成したか?目標は達成できた?」と聞かれるという。

答えはもちろん、「いいえ」だ。「いまも学び続けているからです」

文=北島英之

この記事は 「Forbes JAPAN No.20 2016年3月号(2016/01/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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