理想のオフィスは自分たちの手で! 10日間のリノベーションに密着

リノベーション後のCRAZY社のオフィス (岡田晃奈 = 写真)

唯一無二、完全オーダーメイドのウェディング事業を主軸に成長を遂げてきた「CRAZY」。昨年12月、全社員でオフィスのリノベーションを決行。どんな効果が期待できるのだろう?

きっかけは、社員たちの何気ない会話にあった。「このオフィス、なんとなく汚いよね」

消しカスは無遠慮に落ちているし、飲み物をこぼした跡も目につく。どことなくしっくりこないのか、カフェに出向いて仕事をする社員も少なくなかった。

それってなんでだろう? 誰もがモヤモヤするなか、ある社員がこう口にした。「土足だからではないですか?」

2014年に現在のオフィスに移るまでは、マンションの一室を借りていたこともあり、靴を脱ぎ、自分の家にいるような感覚で仕事ができた。机で集中して作業をしたければそれでいいし、ゆっくり考えをまとめたければソファへ。自分はどうしたいのかを常に問いかけ、行動していた。社員自らヤスリをかけてつくり上げた机を使用していたこともあり、目に見えて「愛着」があった。

でも、移った先は所詮「与えられたオフィス」。毎日なんの疑問も感じずに、同じような席に座る。脳が同じようにしか動いていない気さえしていた。

そんなある日、毎年恒例の「全社員プロジェクト」のアイデアを募るミーティングが開かれる。CRAZYでは「夢だけど、できないことをやろう」をモットーに、社員全員参加の企画を毎年立て実現させている。創業1年目の13年は全社員で世界一周の旅へ。14年は全社員がそれぞれ別会社で2週間ほどインターン。

次は、どんな企画を立てようか。

すると、入社1年目のアートディレクターの女性からこんな意見が上がる。「自分の家をDIYしたのですが、会社でもやってみませんか」

みなオフィスとの付き合い方がわからずにいたこともあり、全員一致でプランが採用される。

期間は12月中旬の10日間。その間、WORKDIFFERENTLYCREATINGIDEAL OFFICE業務は完全にストップ。毎朝8時半から18時まで、プロの力をほんの少しだけ借りながら、一人一人が作業に没頭した。
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文=古谷ゆう子

この記事は 「Forbes JAPAN No.20 2016年3月号(2016/01/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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