だが、生み出した製品の名称は誰もが知っている一方で、創業者や経営者自身の名前があまり取り上げられない企業もある。それは、例えば誰だろうか──?
数百万人もの人たちが、航空貨物輸送会社のフェデックスが届けてくれる荷物を受け取り、米食料品チェーンのトレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s)で買い物をする。レッドブルを飲んで徹夜する人たちも大勢いる。
だが、これらの経営者である大富豪の名を知っている人たちは少ない。3社の創業者の氏名はそれぞれ、フレデリック・スミス、テオ・アルブレヒトJr.、ディートリヒ・マテシッツだ。
多くの人に愛される「キンダーチョコレート」を販売しているのは、イタリアのフェレロ・ロシェ。また、チョコレートスプレッドの「ヌテラ(Nutella)」は、フェレロ創業者の息子、ミケーレ・フェレロの未亡人であるマリア・フランカ・フィッソロが販路を世界的に拡大した製品だ。
同社を創業したのはミケーレの父であるピエトロ。食料配給制が敷かれていた1940年代、ココアが不足していたことから、ヘーゼルナッツのペーストをベースにしたチョコレートスプレッドを考案した。同社は現在、ミケーレとマリアの息子であるジョヴァンニが経営しており、フォーブスの調査によれば、フェレロ家とフィッソロ家の資産総額は合わせて221億ドル(約2.5兆円)に上る。