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2016.02.29 12:30

米で大人気の「シギーズ」ヨーグルト、創業者が語る開業のきっかけ

写真は、シギーズ・デアリーが販売するヨーグルト「スキア(skyr)」(Photo by Michael Buckner/Getty Images for Mercedes-Benz)

写真は、シギーズ・デアリーが販売するヨーグルト「スキア(skyr)」(Photo by Michael Buckner/Getty Images for Mercedes-Benz)

シギー・ヒルマーソン(39)が事業を立ち上げた2004年、米国人は食品について、今ほど真剣に考えていなかった。ジュースを積極的に飲んだり、旧石器時代の食事法を再現する「パレオ・ダイエット」を実践したりするような最近のトレンドは存在せず、今では定番のキヌアや「シラチャー」(タイのチリソース)、ケールも、一般的ではなかった。

ヒルマーソンが出身国アイスランドのヨーグルト、「スキア(skyr)」を販売し始めたのはその頃、コロンビア大学ビジネススクールで学んでいた頃だった。さまざまな種類のギリシャヨーグルトや「体に良い」ヨーグルトがスーパーマーケットの棚に並び始めるずっと前から、ヒルマーソンは母親に教えてもらったレシピに従い、タンパク質が豊富で糖分が少ない、濃厚なヨーグルトを自分でつくっていたのだ。

スキアはギリシャヨーグルトに似た、乳清を「ろ過して」取り除いたようなヨーグルトだ。一般的なヨーグルトと同じ量をつくるには4倍の牛乳が必要となるため、原材料費も高くなる。だが、「店で売っているヨーグルトは、砂糖やスクラロース、アスパルテームなどの人工甘味料がたくさん入っているものばかりだった」。

当初は自分が食べる分だけをつくっていたが、そのうち頼まれてつくるようになり、地元の市場で売るようになった。大量注文を受け、ニューヨーク州アップステートのモリスビルにある乳製品製造工場と契約を結ぶとすぐに、ウエスト・ビレッジにある「マレーズ・チーズ」での販売が決まった。さらに、大手小売店からも声がかかるようになった。

本格的な事業へ

新米の経営者であり、食品業界への新規参入者だったヒルマーソンは短期間のうちに、ブランドを創設することの意味を学んだ。「成功のために計画を立てるのは重要なことだ。成功とはどのようなものか、今現在の行動が将来どのように変わっていくかを理解していなくてはならない」という。「500店舗と5,000店舗での販売するのは、まったく違う話だ」。

シギーズ・デアリーのヨーグルトは2007年、最初の大きなチャンスを得た。「ホールフーズから連絡があった。糖分が少ない我々のヨーグルトが気に入ったとの話だった」という。だが、新参者だったヒルマーソンは、それがどれほど大きな機会か「分かっていなかった」という。

ホールフーズでの取り扱いが決まっても、大半の商品は一部地域での販売から開始する。だが、同社は契約した2008年の当初から、全米のおよそ半数の店舗で販売を始めることができた。

多くの小売店が、このヨーグルトが長期的な人気を得ると見込んだ。そしてその予測は正しかった。米調査会社ニールセンによると、シギーズ・デアリーは2015年、売上高が前年同期比120%の増加を記録。米国内で販売されるヨーグルトのブランドのうち、最も急速な成長を遂げた。ヨーグルトは2017年には、93億ドル(約1,050億円)規模の産業に成長すると予想されている。

健康的な食品の人気が高まり、ヨーグルト市場が成長を続けるなか、シギーズ・デアリーの理念は創業当初から変わらない。ただ、事業内容は変わった。現在、同社のヨーグルトはターゲットやウェグマンズ、ショップライトなど合わせて1万1,000店舗以上で販売されている。

起業家にはリスクを負うタイプが多いと言われる。だが、ヒルマーソンは自らを、「慎重派だ」という。自分がつくる製品をとても気に入っており、情熱を持てることに取り組んでいたため、「価値あることに挑戦したのだから、失敗しても気にしなかっただろう」と話す。そして、将来もし失敗しても、「それでも誇りに思うだろう」という。

編集 = 木内涼子

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