企業価値35億ドルのセキュリティ企業、タニウム 強気のIPO計画

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タニウムはこれまでに2億6,000万ドル以上の資金を調達しており、その半分以上をシリコンバレーの有力ベンチャーキャピタルであるアンドリーセン・ホロウィッツが出資している。しかし、オリオンはこれ以上プライベートマーケットから資金調達するつもりはないという。

「最近は投資環境が悪化し、ラチェット条項や優先権など、ここしばらく目にしなかった投資家に有利な条項が設けられている」と彼は言う。「グッド・テクノロジーの買収のように、従業員が損をする事例が出てきて、従業員たちは資金調達時の条項に敏感になってきている。経営者は、投資家からは不利な条項を強要され、従業員からは厳しい質問をぶつけられて板挟み状態だ」

こうしたことから、オリオンの目はIPOに向いているという。彼は来年上場する可能性があることから、直近の業績を開示することを拒否した。「我々はいずれIPOをする。その方が従業員と投資家の両方にとって公平だ」とオリオンは話す。

しかし、テクノロジー企業にとってIPO市場はここ数年で最悪の状態にある。FireEye以外にもPalo Alto Networksの株価が今年に入って28%下落しているほか、最近上場したテクノロジー企業の株価は軒並み低調だ。

ヒンダウィ親子は、少なくとも表向きはマーケットの状況を気にしていないように見える。彼らはタニウムを立ち上げる前、自ら創業したセキュリティ会社のBigFixをIBMに4億ドルで売却している。その後、数人の従業員と5年をかけてタニウムの製品を開発してきた。父子のタニウムの持ち分を合わせると60%を超え、直近の評価額に基づくとそれぞれがビリオネアになる計算だ。タニウムが上場を果たしても、二人は所有する株式を一切売らないことで合意しているという。

「株式市場は最悪の状態で経営者に謝罪を求める風潮があるが、我々は何も謝ることなどない」とオリオンは強気の姿勢を崩さない。「我々は自社の株価など気にしないし、投資家にへつらったり、5分おきに事業見通しを公表するような無駄な真似はしない。上場後もこれまでの経営スタイルを貫くだけだ」

編集=上田裕資

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