アマゾンがアメリカにおける無料配送の最低購入金額を35ドル(約4,000円)から49ドル(約5,500円)へと40%近くも引き上げた。このニュースは、年会費99ドルを払っているプライム会員には、その会費がさらにお得に感じられる話でもある。
プライム会員らはお急ぎ便やビデオ、音楽、フォト、パントリー(食品・日用品)、先行タイムセール、Kindleオーナーライブラリーなどが利用可能だ。
アマゾンが前回、無料配送の最低金額を引き上げたのは2013年で、25ドルから35ドルへと変更された。幸いなことに今回の値上げは書籍には適用されず、本の場合、25ドルから無料で配送可能だ。
アマゾンが最低金額を引き上げた理由は、プライム会員を増やしたいという意図と、配送コストの高騰にある。プライム会員数は2015年に51%増えたが、2014年の53%増よりもわずかに少ないとフォーブスは以前報じている。ニュースサイトGeekWireによると、米国のアマゾンの第4四半期の配送コストは18.5億ドル(約2,070億円)となり、年間を通じて50億ドル(約5,600億円)を超えた。
18.5億ドルは、UPSやFedExなどに支払った41.7億ドル(約4,660億円)の配送コストから、顧客から配送料として支払いを受けた23.3億ドル(約2,600億円)を差し引いた金額だ。アマゾンの第4四半期の売上高は357.5億ドル(約4兆円)で、前年同期の293.2億ドルから21.9%増となったが、アナリスト予想の359.3億ドルは下回った。
アマゾンは配送コスト軽減のため、独自の配送網を作るのではないかという憶測もある。これが実現すれば、アマゾンは倉庫から配送先へのサプライチェーンをより強固にコントロールできることになる。
アマゾンのプライム会員数は定かではない。しかし、Consumer Intelligence Research Partnersの調査によると、現在アメリカではプライム会員が5,400万人いて、一人あたり年間平均1,100ドルを使うという(プライム会員以外の利用者の年間平均利用額は600ドル)。さらに、2015年12月31日時点でアマゾンの顧客の47%がプライム会員だと推測している。
つまり、プライム会員は年間40億ドル(約4,500億円)~60億ドル(約6,700億円)の売上につながっているということだ。無料配送の最低金額を引き上げることによって、2016年のプライム会員数は大幅に増えることだろう。