2015年には13人のドライバーが、給与のほかボーナス、広告などへの出演料、チームの獲得賞金の分配金、ライセンス料などにより、1,000万ドル(約11億円)以上を稼いだ。13人が獲得した報酬は、フォーブスの計算によると合計1億9,800万ドル(約221億円)に上る。
獲得報酬が同年、8年連続でトップになったのは、ヘンドリック・モータースポーツに所属するデイル・アーンハート・ジュニア。推定2,350万ドル(約26億円)を手にした。
NASCARシリーズではこれまで、ヘンドリック・モータースポーツとジョー・ギブス・レーシング、スチュワート・ハース・レーシング、チーム・ペンスキーという4大チームが圧倒的な勢力を誇ってきた。過去11回のスプリント・カップではいずれも、これら4チームのうちの1チームが優勝している。また、2015年のシリーズカップ36戦でも、2回を除いたすべてで、これらのチームのいずれかが勝利した。トップ・ドライバーがこれらのチームに集中し、ビクトリーレーンを飾りたい大口のスポンサーが集まって資金を提供し、結果としてドライバーの報酬も膨れ上がるという構図だ。年間の獲得報酬が1,000万ドルを超えたドライバー13人はすべて、これらのチームの所属だ。
ヘンドリック・モータースポーツにはアーンハートのほか、ジミー・ジョンソン (獲得報酬2,220万ドル)、ジェフ・ゴードン(同2,160万ドル)がおり、報酬総額のトップ3を占めている。
これら3人の後には、ケビン・ハービック(同1,550万ドル、リチャード・チルドレス・レーシング所属)、デニー・ハムリン(同1,510万ドル、ジョー・ギブス・レーシング所属)が続いている。
この10年で、王者の決め方から物品販売、レースのテレビ放映などについてまで、組織全体やレースに関する大きな変化を成し遂げてきた。最近に起きた変化は、「チャーター・システム」の導入だ。トップカテゴリーの「スプリント・カップ」シリーズに出場する36チームをフランチャイズとし、他のスポーツリーグと同様、売り上げを一元的に管理しようというのだ。
新しい仕組みの下では、ドライバーたちの報酬額の決定方法にも、変更が加えられる。ドライバーはこれまで、給与の他にレースの結果次第で所属するチームから一定の割合を受け取っていた。しかし、今後は一元管理される資金が各チームに分配されることになり、個別のチームが獲得する賞金が毎週発表されることはなくなる。ただ、これは必ずしもドライバーたちの報酬の減額を意味するものではなく、チームのオーナーたちは現在、新たな契約交渉を進めている。