中国のインターネット利用者数は現在、およそ6億5,000万人。米国の総人口の2倍近い数だ。そして、中国経済は日々成長を続けている。若い世代は特に音楽に関心が高く、音楽に使う時間も金銭もある。向こう10年間の中国の消費支出は大幅な増加が見込まれており、同時に音楽市場での消費が全体に占める割合も上昇すると予想されている。
調査の結果、中国の消費者は1人当たり年間平均86ドル(約9,630円)を音楽関連の消費に充てていたことがわかった。急増する富裕層に限ってみれば、同132ドル(約14,800円)に上る。一方、同じ年の米国人の支出は、平均152ドルだった。
一人が音楽だけに費やす額としては、年間86ドルはかなりの金額のように思えるかもしれない。だが、トップアーティストのライブのチケットが80ドル前後なら即座に完売するだろうし、人気の音楽ストリーミングサービスの多くは、月額10ドル程度(中国にはより安価なサービスも数多く存在する)で利用できる。そう考えれば、年間86ドルは本当に高額だといえるだろうか。
ニールセンはこのほか、音楽が中国全体にどの程度普及しているかについても調査した。その結果、1週間に音楽を聴いている時間が16時間程度と答えた人が調査対象全体の72%に上った。少ない時間とはいえないが、米国の若者たちが1週間当たり24時間前後と答えていることに比べれば、まだ相当に短い時間だ。
中国の富裕層に限定してみると、音楽への関心は特に高く、82%が日常的に音楽を聴いている。また、中国では66%(富裕層の71%)が音楽ストリーミングサービスを利用して音楽を聴いていることが分かった。まだサービスが提供されていない地域も世界各地に残るなか、かなりの普及率だといえる。
一方、中国人は米国人に比べ、ライブコンサートに足を運ぶ人の割合が高いことも明らかになった。調査対象としたいずれの年についても、中国の富裕層のうち音楽好きだと答えた人の約57%が、実際にライブに行って音楽を聴いていた。米国人を対象にした同じ調査では、その割合は51%だった。
中国の音楽市場への参入は難しいかもしれない。だが、この国の音楽市場が非常に近い将来、最も重要な市場のひとつになることは間違いない。