関係筋からの情報によるとオスカー社の企業価値は27億ドル(約3,030億円)。オスカーは2015年9月にグーグル・キャピタルから3,250万ドル(約36億円)の出資を受け、当時の企業価値は17億ドルだった。
今回のラウンドはグーグル・キャピタル、General Catalyst、Founders Fundなどが主導。オスカー創業者のジョシュ・クシュナーは「私たちの事業領域は、米国のGDPの20%に相当する国内最大のマーケットの1つだ。当社はこの分野に巨大なインパクトを与えるだけの資本、ブランド、技術を持っている」と述べた。
テック業界ではIPOを果たした企業の株価下落が続いている。最近上場したEtsy、GoPro、Fitbit、Boxの株価はいずも売出価格を下回っている。そんな状況下でフィデリティのようなブランドから高額投資を勝ち取ったオスカー社は、投資家たちの“お墨付き”を得たとも言える。
ニューヨークを拠点にするオスカーは昨年、カリフォルニア州、ニュージャージー州、テキサス州に事業を拡大し急成長した。顧客も1年間で4万人から3倍の14万5,000人に増えた。契約者の平均年間保険料は5,000ドルで、保険料収入は7億5,000ドル(約842億円)に迫るという。
一方でコストも上昇し、オスカーは2015年に1億2,000万ドル(約134億円)の損失を計上した。損失の内訳は医療費の支払いとオペレーションコストの上昇だった。マリオ・シュローサーCEOは「1年間に3、4州の新規展開を予定しており、各州への進出コストは2,000億ドルかかる」と説明した。
オスカーは「医療保険に変革をもたらしたい」との思いで設立された。
「私たちは医療保険をより透明に分かりやすくしたかった。そして技術だけでなく医療ネットワークと病院との契約も重要な鍵だと分かってきた」とクシュナーは語る。実績のない保険会社はニューヨークのMagnacareのような企業の医療ネットワークにアクセスするために高額のフィーを払わなければならない。
オスカーはこのようなネットワークを避けて、代わりにテキサスのTenet HealthやカリフォルニアのProvidenceのような医療プロバイダーのネットワークを統合して結びつけ、より安価なプラットフォームを構築している。