支援打ち切りの対象について、法案は非営利団体「全米家族計画連盟(PPFA)」の名称を明記してはいないものの、治療上必要と認められた理由 (性的暴行の被害や近親相姦、母体に生命の危険がある場合) 以外での中絶処置を行っている機関と、その関連団体を支援対象から外すとしている。
PPFAによると、同連盟は2015年、乳児死亡率の低減を目指すオハイオ州保健当局の制度を通じて、3,600人以上を対象としたHIV検査と4万7,000人を対象としたSTD(性感染症・性病)検査を実施。妊婦2,800人を診察した。オハイオ州は全米で3番目に、アフリカ系住民の乳児死亡率が高い州だ。
同州議会がこの法案を2月10日可決した後、PPFAは30秒間の動画を配信。ケーシック知事に対し、補助金の支給を打ち切る理由を問いただすと共に、支援中止の撤回を求めていた。
PPFAのセシル・リチャーズCEOは、「ケーシック知事は堂々と、妊娠中の女性と新生児への支援を中止する決定を下した。数千人の女性たちが、STD検査やHIV検査を受けられなくなる。家庭内暴力と闘うためのプログラムへの支援を中止し、基本的かつ不可欠な医療を受けるための手段を断ち切るものだ」と批判している。
一方、共和党の大統領候補指名を目指すケーシック陣営はこうした主張に対し、女性の健康の問題に関する知事の対応を擁護。知事はこれまでに、女性26万人の医療保険への加入を支援し、乳がんや子宮がん検査に対する補助金の給付を実施してきたと訴えた。
米ハフィントン・ポストによると、遊説中のケーシック知事は2月22日にバージニア州で行った演説で、「オハイオ州はこれまで、女性の健康のために多額の援助を行ってきた。我々は女性の健康の問題に取り組むにあたって、自らの信頼性に自ら疑問を付けた関連組織を活用することにとらわれてはならない」と強調した。