玩具業界の成長、カギは「脱ノスタルジア」か 性別分け否定が主流へ?

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バービー人形で遊んで育った世代には、身体イメージに問題を抱える女性が多い。あの人形の体のバランスは、実際の人間にはどう考えてもあり得ない。非現実的であり、当然ながら感受性の強い少女たちにとって有害だ。

調査結果からも、バービー人形の非現実的なプロポーションが少女たちの自己評価に悪影響を与えていることが明らかになっている。バービー人形の売り上げが落ち込んでいるというのもうなずける。

米マテル社は2月初旬、体型が異なる新作のバービー人形3種類(小柄、曲線的、長身)を発表した。どの人形も同様に魅力的で、消費者は好きなタイプを選ぶことができる。

少女向けのブロックおもちゃを製造するゴールディブロックス(GoldieBlox)によると、玩具業界は大きな変化を遂げた。デビー・スターリングCEOは、米小売大手ターゲットやアマゾンは店内の玩具売場の対象性別ごとの陳列方法を廃止する方針を決定している。また、バービーやアメリカンガールなどの大手人形メーカーも、女性の社会的地位向上の考え方をマーケテイングに取り入れている。

玩具業界の今後は?

クラウドファウンディング・サービスのキックスターターでは、「STEM(科学・テクノロジー・工学・数学)」教育の原則に基づいて玩具を開発するスタートアップが相次いで登場し、資金調達を目指している。そして、これら各社もまた、女性の社会的地位向上を事業戦略の中核に据えている。最近の調査結果では、ブロックおもちゃが早い時期からのSTEMへの関心の高まりや、運動能力、空間能力の向上に役立つことも確認されている。

自らもエンジニア出身のスターリングは、「2013年にキックスターターで資金調達を開始して以来、大きな変化があった」と話す。同社は玩具やメディアが少女たちに見せる「ピンク色で装飾されたおもちゃ売り場」や男女の役割に関する固定概念が、「自分に何ができるのか」という点において少女たちに非常に大きな制約を与えていると考えた。そして、玩具やメディアは子どもたちの自己認識、自分の長所や将来の希望に関する認識に多大な影響力を持つことから、子どもたちへの態度を変えるべき時だと訴えたのだ。

同社のモットーは、「お姫様になるのも良い。でも、自分でお城を築くことだってできる」だ。スターリングは、玩具業界に起きている大きな変化を先導してきたことを誇りに思うと語った。数々の企業が、同社の後に続いている。

スターリングはこのほか、次のように述べた。「玩具業界もメディアも長年にわたって、ノスタルジアに基づいて物事を考え、過去から抜け出すことができずにいた。そして、性別による役割分担という固定概念を広めてきた。この固定概念はもはや、現代に生きる少女たちやその親たちの心を捉えることができるものではない」「今後も業界の変化は加速度的に進み、子どもたちに力を与えるキャラクターや玩具が誕生していくだろう」。

編集 = 木内涼子

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