さらに、職場と自宅の間に境界をつくることが重要だという。境界がはっきりしなければ、「仕事と家のどちらにより時間とエネルギーを充て、注意を向けるべきか、自分の中でせめぎ合いが生じる」というのだ。仕事と家での役割のバランスを取ろうとすることが、心身の健康に悪影響を及ぼすのだ。
通勤は一時的に、そして空間的にこの2つから離れることができる機会だ。2つの間の境界を明らかにし、その後の時間に向けての精神的な準備をする手助けになる。これは目標重視の考え方を持つことによって、実現が可能だ。
楽しむことでも家とオフィスの間の「緩衝地帯」をつくることができる。だが、それでは気持ちを仕事モードに切り替えることや、長期的にみた場合のストレスレベルの低減にはつながらないという。
私たちは具体的に、通勤途中に何を考えればよいのだろうか?研究チームは、その日の目標について、それをどのようにして達成するかについて考えることを勧めている。考えるだけでも、それらの目標達成に向けて十分なやる気を持つことができる。そして、それが成功のチャンスにつながるのだという。
目標重視の考え方を持つことは、「実行する意思、どのように目標を達成するかに関する具体的な計画を持つためのきっかけになる」。そして、目標達成への計画を持つだけで、まだ達成できていない目標について色々と考えをめぐらせる必要がなくなる。
通勤する人たちの中で、自分が強い自制心を持っていないと思う人も安心してよい。目標重視の考え方は、学習によって身につけることが可能だ。