連邦議会はこれまでも、退任間近の大統領による指名について、特に厳しい反応を示してきた。米国議会図書館の議会調査局のまとめによると、議会は過去に、大統領が公職に指名した候補者34人のうち16人の任命に反対した。その16人のほとんどは、大統領任期の満了間近に指名された候補だった。
米連邦最高裁の判事は9人で、これまではスカリア判事を含め5人が保守派だった。最高裁判事に空席があってはならないとする憲法上の規定はなく、共和党上院トップのミッチ・マコネル院内総務はすでに、自党が「オバマ大統領が指名する後任判事を承認することはない」と警告している。
オバマ大統領は、その共和党から賛同を得られる候補を指名する以外に、任命を実現する方法はないだろう。新判事が任命されなければ連邦最高裁は当面、リベラルと保守が4対4となり、最も議論を呼んでいる重大な問題に関して、明確な判断を示すことができなくなる。
新大統領の就任まで最高裁の判事が8人のままということになれば、現在行われている審理の見通しも変化する可能性がある。意見が明確に分かれた場合には、下級審の判決の重要度が高まるほか、最高裁が今会期中の審理対象としていた訴訟の一部を次の会期に回す場合も出てくるだろう。両派の中でも穏健とされるジョン・ロバーツ最高裁長官とアンソニー・ケネディ、スティーブン・ブライヤー両判事が妥協案について話し合い、3人のうち2人が一定の見解で合意することを目指すほかない。