調査チームはストリートビューを使い、ニューヨーク市内の500か所以上の交差点の状況と、歩行者と自動車の事故発生の関係について調べた。「ストリートビューを用いて交差点の特徴を調査することは現地調査と同様に効果的で、かつ低コストで済む。移動に伴う煩雑さもない」という。
米公衆衛生ジャーナルの電子版に掲載された報告書によれば、事故が発生した交差点に調査チームを送るよりも、ストリートビューを使うことで大幅に効率を向上させることができる。
調査は5年にわたって実施されたもので、その結果、歩行者の多い交差点ほど安全で事故による負傷者の発生率が低い一方、看板やバス停など注意散漫になりやすい物が存在する場所では、事故による負傷者が出やすいということが分かった。研究チームを率いたアンドリュー・ランドル准教授によれば、「我々の知る限り、歩行者にとってのリスク要因を評価するために行われたバーチャルな調査は過去に例がない」。
ストリートビューを使うことによってどの程度、時間とコストが節約できるのかについてチームは、カリフォルニア州とワシントン州で以前に行われた交差点850か所の調査を調査員1人で行った場合には3年が必要だったと説明。一方で、ストリートビューを使えばデータ収集は1か月で完了すると述べた。
また、道路の照明の改善や減速帯の設置、路面標示のメンテナンス、その他のインフラ投資を行えば、歩行者の安全性を大幅に向上させることができるほか、コスト効率良く事故を抑制できる方法になり得ると指摘した。
なお、ニューヨーク市をはじめ複数の大都市が先ごろ、歩行者の安全性向上に向けた計画を実施した。例えばニューヨーク市は歩行者用信号1,500灯を設置したほか、道路・交差点数十か所を改修している。
チームによれば、今回の調査結果の一部は以前までの調査と同じ結果を示したものの、歩行者にとってのリスク要因をより深く理解するためにはさらなる調査が必要だ。今後はニューヨーク以外の地域でも、バーチャル調査を行いたい考えだという。