医学雑誌「チャイルド・オビーシティ」 (Child Obesity) に発表された論文によると、受動喫煙は7~11歳の子どもの肥満、思考障害との関連性が疑われる。また、英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」が発行する専門誌「タバコ・コントロール」 (Tobacco Control) に掲載された調査結果によれば、水タバコを提供するバーの従業員にも、受動喫煙による健康リスクが認められた。
ジョージア医科大学のキャサリン・L・デイビス教授の研究チームが7~11歳の過体重と肥満の子ども220人を対象に実施した調査の結果、タバコの煙への暴露と体重、体脂肪率、認知力テストの結果には相関関係が認められた。この調査では、両親への聞き取りと血中のコチニン (ニコチン代謝物) 濃度から受動喫煙の程度を判定した。
ただ、この調査の結果では、親が自宅では喫煙していないと答えた場合でも子どもの血中からコチニンが検出されるケースや、親が喫煙していると申し出ても検出されないケース (18人) があった。
一方、ミシガン大学とニューヨーク大学医学部の研究チームは、ニューヨーク市内にある水タバコを提供するバーの従業員、10人を対象に調査を行った。店内の空気中に含まれる微小粒子状物質 (PM2.5) と黒色炭素微粒子 (BC2.5) 、一酸化炭素 (CO) 、ニコチンの濃度を測定した。その結果、勤務後の従業員は、炎症性サイトカインの血中濃度、呼気一酸化炭素濃度が共に上昇していたことが分かった。
これらの結果からも、喫煙は喫煙者自身だけでなく、周囲の人たちにも有害であることが示されている。副流煙にシアン化物、アンモニア、鉛、一酸化炭素などの化学物質が含まれていることを考えれば、驚くような結果ではない。そばに喫煙者がいたら、クルマのマフラーか住宅用洗剤のボトルを口にくわえている自分自身を想像してみてほしい。
また、受動喫煙は成人の肺病やがん、心疾患の原因になるだけでなく、新生児の低出生体重や乳幼児突然死症候群 (SIDS) 、子どもの感染症のリスクを増大させる危険がある。