ビジネス

2016.02.10

「ドバイでの経験」が語る中国の世界戦略の真実

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一方で、国営企業に話を聞くと少し別の話が見えてくる。中国企業の多くは、独力で海外に進出するには小さすぎたり、必要な経験に欠けたりする。そのため、中国建築工程総公司のような巨大国営企業のサプライチェーンの一部として、国外に進出する場合が多いのだという。

これは、巨額の政府間取引がシルクロード経済圏諸国と中国の結びつきのきっかけになり得ることを示しており、重要な点だ。中国の巨大な国営企業は機器メーカーから物流会社、銀行までのサプライチェーンを、その基盤から引き連れて進出するのだ。

しかし、こうした中小のサプライヤーに自ら海外市場を拡大していく体力ややる気があるとは限らない。国営企業に追随するだけで満足な企業も多いだろう。中国の一帯一路戦略がこうした中小企業のマインドを変えられるかどうかが、今後の発展において非常に重要なポイントになる。

見通しは明るい

中国のシルクロード経済圏戦略の今後に関する見極めを難しくするのは、市場原理と政府間取引の間のこうした緊張関係だ。結局のところ、巨大な国営企業も利益を上げなければ、サプライチェーンを築く中小企業も付いてはこなくなるだろう。

これを見極めるためには、ドバイで起きていることをみると分かりやすい。中国政府の戦略の影響を分析する最も簡単な方法は、単純に「資金の流れを追え」ということだ。シルクロード沿いには利益を上げる機会が豊富にあり、活発な事業活動が今後、集中することになると考えられる。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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