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I write about business in India, especially the new economy.

szefei / shutterstock

2007年のデビュー以来右肩上がりで売れ行きを伸ばしてきたアップルのiPhoneだが、2016年度第1四半期(2015年10月~12月)にはその増加率が過去最低となり、頭打ちがはっきりしてきた。ところが同じ四半期に、アップルがインドであげた業績は過去最高のものだった。この明暗のコントラストからくっきりと浮き上がるのは、インド市場の存在感だ。もはやアップルは、インドを二の次にしてはいられないのだ。

アップルがインド市場をどう見ているのかが、少し前にテレビで流れていたCMにありありと示されている。結婚式当日を迎えたインドの美しい花嫁が、恥じらいながらも衣装を披露し、ヘナという植物由来の染料でボディペイントをした手でiPhoneをつかみ、FaceTimeで新郎に連絡をとる。ずっと顔を隠したままだった花嫁がようやくその覆いを取るのは、結婚式場で新郎の隣に並んだときだ。インド市場の潜在力をようやく認識しはじめたアップルにとって、この恥じらいがちな花嫁の姿は、まさしくインド市場を擬人化したものだ。

近隣の中国でiPhoneの売れ行きが伸び悩むなか、ここ数カ月でスマートフォンの売り上げが世界一の勢いで伸びているインドを、アップル経営陣は訪問した。そしてCEOのティム・クックは1月最終週の業績発表で「当社はインドへの注力を強めてきています」と語った。

アップルがインドを重視せざるを得ない最大の理由は、スマートフォン市場としての伸びしろの大きさだ。過去数四半期のあいだインドでのiPhoneの販売台数は20万台ずつのペースで増加してきたが、直近の四半期には80万台もの大幅増となったのだ。インドがやがてアメリカを抜いて中国に次ぐ世界第二位のスマートフォン市場になることは確実だとみられている。

インドでは2015年に1億600万台のスマートフォンが売れたが、その後の2年間でさらに3億台の販売が見込めるという見立てもある。そんななか、iPhoneの四半期販売台数100万台が手の届くところまできたのだ。一大ブームを迎えつつあるこのインド市場でアップルのシェアは現状1%程度でしかなく、まだまだ伸ばしていける余地があるのだ。

インドでスマートフォン人気に火がついたのは2~3年前と遅く、電話機全体の売上に占めるスマホの割合は現在でも40%と低い。いっぽう中国ではスマホが90%と、すでに市場が飽和しつつある。iPhoneに関しても、米国や欧州、中国などではすでに行き渡り、マーケットシェアの拡大は難しくなっているが、インドやインドネシアをはじめとする新興市場ではまだ普及しはじめたばかりで、今後の伸びが大きく期待できる。

インドの多くの若者にとって、iPhoneは背伸びをしてようやく買えるものだ。昨年、一代前のモデルのiPhone 5sをアップルが値下げすると、売上が一気に伸びた。2014年の最後の四半期(2015年度第1四半期)にインドで売れたiPhoneの少なくとも半数は旧モデルだったともいう。ほかの新興市場でもそうだが、インドでのアップルの戦略は、とにかくiPhoneユーザーの数を増やすことだ。そうしてエコシステムに取り込めた人には、いずれ最新モデルに買い換えてもらうことが期待できる。

インド市場がアップルにとってやっかいなのは、中国などほかの市場と比べてユーザーの購買力が低いことだ。だからサムスンをはじめとするアンドロイドOSのスマホがアップルを販売で打ち負かしてきた。最新モデルのiPhone 6sを昨年発売したときもその高額さからなかなか売れず、販売価格にいささかの柔軟性を持たせたことで、ようやく売れはじめた。

アップルは過去の数四半期にわたって、インドでの販売戦略にいくつかの見直しを行った。販売会社を2社から3社に増やしたことに加えて、大都市偏重を改めて中小都市にも販売ネットワークを広げた。また、Apple MusicやiCloudもインドのユーザーに手の届きやすい価格設定にした。

それでもなお、インド市場はアップルにとって競争の厳しい難敵であり続けるだろう。この伸びしろの大きい市場には、中国やインド国内の企業も含めて、多くのスマートフォンメーカーが狙いを定めているからだ。

編集=Forbes JAPAN編集部

 

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