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田中美咲 一般社団法人 防災ガール 代表理事(photograph by Akina Okada)

根本から変えないと、世の中は変わらない。

ソーシャルゲームの先にいる人々を幸せにしたいのか。震災で被災した方々のために働きたいのか、どちらなのだろう……。

2011年、サイバーエージェントに入社した田中美咲(27)は、悶々とした日々を送っていた。もともとITやテクノロジーが好きで、同社のゲーム事業部で新人賞を獲得するなど、傍から見れば“期待の新人”。でも、自分の心はゲームのユーザーのほうには向いていないことはわかっていた。モヤモヤしながら働いていても成果は上がらない。12年8月、きっぱりと仕事を辞め、福島に移り住んだ。

被災地では、甚大な被害を被った沿岸部8市町村の広報課とともに、県外に避難した人々に情報を届けるためのインフラづくりに力を注いだ。こだわったのは、自分の強みであるITスキルを積極的に生かすこと。

だが、1年半ほどたったころ、こんな考えが頭をよぎるようになる。

「ずっと被災地にいるよりも、同じことを繰り返さないために『防災』に携わりたい。根本から変わらないと、世の中は変わらない」

13年に「防災ガール」を立ち上げ、現在はイベント開催に商品開発(写真)、そしてコミュニティマネジメントの3つを柱に据える。「防災婚」に「防災サバイバルゲーム」……。イベントは、若者に流行っているものに防災を組み込むことを意識した。

いま最も力を入れるもののひとつが、“次世代型避難訓練”だ。

「既存の避難訓練が、防災のネガティブイメージをつくっていたと思うんです。毎回決まった避難経路を辿る。それでは、町全体が災害になったときに逃げ切れない。そして何より、楽しくない」

楽しくなければ、続けられない。もっと主体的で、本質的な訓練が必要だ。そんな思いを抱いていた田中は、15年8月、位置情報ゲームアプリ「イングレス」を活用した大規模な避難訓練を東京・渋谷で行った。参加者は100人超。意外にも行政は協力的で、サポートしてくれる企業も現れた。

「このプロジェクトがよかったのは、それぞれのセクターが強みを出し合い、みながハッピーになれたこと」

一度は離れたはずのゲームの世界を巻き込んだ、新しい避難訓練。ほかの多くの地域から「うちでもやってほしい」と声がかかったという。

南海トラフ地震や首都直下型地震がいつ起こっても不思議ではない、と言われる中、よりスピーディーに、多くの人々の行動を変化させるためには何が必要か。「防災」という言葉の意味をアップデートしながら、田中は仲間と走り続けている。


たなか・みさき
1988年生まれ。サイバーエージェントでソーシャルゲームプランナーとして働いたのち、東北復興支援を行う公益社団法人に転職。2013年、任意団体として「防災ガール」を立ち上げ、15年に一般社団法人に。コーチングやカウンセリングなどの資格も多く取得している。

古谷ゆう子 = 文 岡田晃奈 = 写真

 

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