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2014年2月、スティーブ・バルマーはマイクロソフトの最高経営責任者を退任した。14年間にわたって同社を率いたものの、彼は常に偉大な共同創業者の存在に苛まれた。しかし、ようやく過去から解き放たれたいま、「ビル・ゲイツ超え」に挑もうとしている。

 (中略)かかってくるかどうかもわからない電話を待ったり、おせっかいを焼いたりするよりも、バルマーはすでに次の仕事に取り組み始めている。キャリア最大のリニューアルに取り組んでいるのだ。リニューアルするのは、自分自身だ。
「7つのプランがあるんだ」と、バルマーが打ち明ける。いたずらっぽく、まずは小さなことから語り始める。シェイプアップすること、ゴルフの腕前を上げること、そして3億3,300万株も保有するマイクロソフト株の動向に目を光らせることだ。ヘブライ語も学んでいるという。(中略)しかし、冗談交じりの会話はそこで止まる。225億ドル(約2兆2,500億円)の資産を持つバルマーは、これからの人生を定年退職した一般の会社員と同じようにささやかな趣味に興じて過ごすには若すぎる。それに、裕福すぎるし、実現していない夢がたくさんあるのだ。

 そこで、バルマーの「やりたいことリスト」の本命にいきつく。優先順位の頂点に位置するのは、最近世界を驚愕させ、20億ドルを投じてオーナーとなったNBAのプロバスケットボールチーム「ロサンゼルス・クリッパーズ」の価値を最大化することだ。
 またバルマーは、コニー夫人と一緒に市民活動や慈善活動でも何か大きなことに取り組みたいと考えている。

 最後に、バルマーはいま、マイクロソフトで過ごした34年分の「遺産」と格闘している。彼はマイクロソフト最大の成功(ウィンドウズやオフィス)の立役者であると同時に、ぶざまな失敗(検索エンジン「ビング」や携帯音楽プレーヤー「ズーン」)にも深く関わっていた。もっともバルマーは、自身がCEOを務めた14年間の実績から実力をわかってもらえるはずだ、と語る。
「石油会社を除けば、アメリカでマイクロソフトのような収益を上げている会社はほかに2社しかないんだよ」

「ビル・ゲイツの陰」から陽の当たる場所へ
 ビル・ゲイツとマイクロソフトの陰で生きてきたバルマーは、自立していることを証明するためにも、これからはあらゆることに挑戦していきたいと考えている。マイクロソフトの黎明期、バルマーは同社が直面する問題の中でも最も困難なものの対応を任されていたものの、社長に就任したのは3人の幹部の後だった。もっと直近の話をすれば、ゲイツがセミ・リタイア生活に入っていても、経営のバトンが完全にバルマーCEOに渡されることはなかった。社員の誰もがバルマーを恐れていた。しかし、ゲイツのことは崇拝していたのである。(中略)

 バルマーのマイクロソフトでの経営手腕には、さまざまな評価がある。厳しい批評家は、バルマーの失敗にばかり目を向ける。著名なヘッジファンドマネジャーのデビッド・アインホーンは2011年に、「過去の成功を忘れられないバルマーは、いまのマイクロソフトでは世話役程度の存在だ」と、交代を迫ったこともあった。

 その一方で、ウォーレン・バフェットのように、「バルマーは、テクノロジー関連株バブルがはじける直前の、00年度初頭にCEOに着任したのが不運だった」と評する人もいる。

 バルマーに自分自身の評価について尋ねると、「総合的には大成功だった」と主張した。
「もちろん間違いも犯した。でも、大成功だったね。自分が完璧だったなんて言うつもりはないよ。だけど、これだけは言っておきたい。僕が『リーダー』だったんだ。僕とビルのことは、何とでも言えばいいさ。僕らの関係は時期によって変わってきた。でも、その中でこの34年間、僕らふたりでアメリカ中のほとんどの会社とひけをとらないだけの利益を株主のために生み出してきたんだ」(以下略、)

ジョージ・アンダース

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