フェイスブックが放った逆転ホームラン IPOから4年間の歴史

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フェイスブックが1月27日に発表した第4四半期の業績では、売上高が過去最高になったことが明らかになった。しかし、これまですべてが順調に進んでいたわけではない。

フェイスブックは2012年5月のIPO当時、投資家らにあるリスク要因を説明していた。モバイル革命に乗ろうとしていた同社は、「現在、フェイスブックのモバイルプロダクトは意味のある売上を直接生み出しておらず、それができるかどうかも未知数だ」と語っていたのだ。

専門家はフェイスブックがモバイルユーザー向けの広告を扱っていないことを批判した。仮にモバイル広告を始めたとしても、世の中はPC版よりも表示できる広告が少ないスマートフォン版へと移行しており、フェイスブックが乗り遅れるのではとの懸念も表明した。「フェイスブックはモバイルにつぶされる」との見出しも踊った。

フェイスブックが初めて年次報告書を発表した3年前、モバイル広告部門はまだ軌道に乗っていなかった。モバイル版ユーザー数はPC版ユーザー数を初めて抜いたが、モバイル広告は全体の広告収入のわずか11%にとどまっていた。2012年、PCユーザーから発生した広告収入は38億ドル(約4,570億円)だったが、モバイルからの広告収入は5億ドル(約600億円)に満たなかった。

だが、それは過去の話だ。フェイスブックは弱みを強みへと変え、最新の業績報告で売上と利益の予想をはるかに上回った。PC版からの広告収入は停滞していたが、モバイル広告においては一大企業となった。第4四半期の広告収入は全体で56億4,000万ドル(約6,770億円)で、その80%がモバイル広告からの収入だ。モバイル広告収入は45億ドル(約5,340億円)となり、2012年の広告収入の総額を上回ったのだ。

フェイスブックがモバイル広告で起死回生できたのにはいくつか理由がある。1つ目は自社開発あるいは買収した一連のモバイルアプリがユーザーの注目を得たことだ。同社は1月28日時点でアメリカのiPhoneアプリトップ5のうちフェイスブック、インスタグラム(10億ドルで買収)、メッセンジャー(フェイスブックから独立のアプリとして分離)の3つを所有している。

これ以外にもWhatsAppを190億ドル(約2.3兆円)で買収した。調査会社Comscoreは、アメリカのモバイルデバイスで費やされる時間のうち25%がフェイスブック社関連だと見ている。

ユーザー数が多いだけでは売上増につながらないが、フェイスブックはニュースフィードやインスタグラムに広告を入れることでモバイルユーザーを金の生る木へと変えた。ターゲット層に届く広告によってマーケッターは効率的に宣伝ができるし、ユーザーにとってはビデオや写真、ステータスの更新やニュースをチェックしている際に広告が表示されるため、嫌でも目につくようになっている。

フェイスブックの第4四半期のアメリカとカナダにおける広告収入は、ユーザー1人当たり12.89ドルで、前年同期比56%増だった。

これらの傾向は、フェイスブックが当面安泰だということを示している。だが長期的にはメッセージングアプリからも売上が上がるようにしなくてはならない。フェイスブックは広告で収入を得ることに長けていることを証明したが、WhatsAppやメッセンジャーの今後の戦略の中に広告は入らないかもしれない。企業が顧客と交流できるような仕組みや支払いができる仕組みを作っても、広告収入ほどの成功には至っていない。

しかし、わずか数年でモバイル部門を成功へと導いたことを考えると、ザッカーバーグとフェイスブックが失敗する方に賭けるのは得策ではないだろう。

編集=上田裕資

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