第1に、クリュッググランド・キュヴェだが、これには120種類以上もの異なるワインがその個性を最大限に引き出されながらブレンドされている。ワインを120種類以上も調合するという作業は、ほとんど香水づくりと同じだ。香水の調合では、香料の確保とイメージ通りの香りを調合するための経験、訓練、センスが重要となる。シャンパーニュもまたしかり。ベースワインの種類と量の確保。それらを自在にアッサンブラージュする経験とセンス。メゾンクリュッグの味は、この芸術的アッサンブラージュにより確立されるのだ。
第2は、全く逆のアプローチとなる。ワインの個性を究極的に表現する方法だ。これがクロ・デュ・メニルやクロ・ダンボネなどの単一区画、単一品種、単一年による希少ワインのみによって造られる純粋性の追求だ。この一見相反する両極の生産を成し遂げている唯一無二のシャンパーニュメゾン、それがクリュッグなのだ。
1. 古いオークの小樽で第一次発酵を行う伝統的手法
シャンパーニュのメゾンを色々回ってみるとわかるが、比類なきシャンパーニュと呼ばれるクリュッグの特徴がある。それがオークの小樽による第一次発酵の工程だ。多くのシャンパーニュはステンレスタンクで最初の発酵を行う。これはステンレスタンクの方が管理しやすいからだ。しかし、伝統を重んじるクリュッグではぶどうの個性を大切にするために手間のかかるオークの小樽による第一次発酵を行っているのだ。
2. 単一畑、単一品種、単一年のクリュッグ クロ・デュ・メニル
クロ・デュ・メニルといえば、ワインリストで最も高価なシャンパーニュの代名詞。クロとは石垣のこと。1.8haほどのクロ・デュ・メニルの単一畑から収穫され、単一品種シャルドネ100%のブラン・ド・ブラン。単一収穫年の非常に希少性の高いワインだ。
「クリュッグ クロ・デュ・メニル2003」¥100,440。
3. わずか0.6haの畑から誕生 クリュッグ クロ・ダンボネ
クロ・デュ・メニルよりも更に希少性の高いシャンパーニュ。それがクロ・ダンボネだ。ピノ・ノワール100%で造られている。アンボネ村の中心部に位置するクロ・ダンボネの畑はクロ・デュ・メニルの更に3分の1で約0.6ha。
「クリュッグ クロ・ダンボネ1998」¥278,640。
4. 裏ラベルに記載されたiDをクリュッグアプリで活用
上記ラベルの114013は
(1)2013~14年の冬に打栓
(2)11の異なる年の142種類のワインのブレンド
(3)最も古いベースワインは1990年
(4)最も若いベースワインは06年
(5)最高醸造責任者のコメント
(6)保管方法と提供方法
(7)評価
(8)フードペアリング
(9)ミュージックペアリング 等、情報が満載なのだ。