この物件を購入したのは、仏ボルドーのワイナリー「シャトー・ポンテ・カネ」のオーナー、アルフレッド・テセロン夫妻だ。夫妻は、かねてからナパで物件を探していたという。「私たちは、夫妻の代理人として、世界に通用するワインを生産するのに適した葡萄園を併せ持つ物件を探していました。ウィリアムズ氏が所有していたこの物件が、妥当な値段になり、これを逃すことはないと考えました」
カリフォルニア州北部、ワインカントリーを見下ろすマヤカマス山脈の懐に位置する広大な農園「ナパ・バレー・ランチ」が最初に売りに出されたのは2012年で、当時の売値は3500万ドル(約41億5000万円)だったが、2014年4月に再度リスティングされた時の値段は2990万ドル(約35億円)まで引き下げられていた。
ウィリアムズは2014年8月、サンフランシスコ湾の北にあるティブロンの自宅で自殺したとされている。スーザン夫人は、解剖の結果、ウィリアムズがレビー小体型認知症を患っていたことが分かったと、後に公表している。レビー小体型認知症は、進行性の脳障害で、患者に鬱症状や妄想を引き起こすとされる。彼の死後、物件の価格は更に下がり、最近では2290万ドル(約27億円)まで引き下げられていた。不動産売却の代理人は、コールドウェル・バンカー・プレビューズ・インターナショナルのジョイス・レイとシド・グリア―の両氏だった。
農園が擁する18.4エーカーの葡萄畑には、カベルネ・ソーヴィ二ヨン、カベルネ・フラン、メルロー、プチ・ヴェルドーといった品種が植えられており、テセロン夫妻は、これらの樹から収穫する葡萄でワインを造る計画だと、デンスバーガー氏は話してくれた。これまで、ロバート・クレイグ・ワイナリーがこの畑の葡萄を使って最高級品質のワインを醸造している。テセロン夫妻が、ウィリアムズの1860平米(約560坪)の邸宅をそのまま使用するのか、そこでワインのテイスティングルームを開業するのかは、定かではない。